七百二十五
秦北東部軍只今苦戦中
風范様もうダメだもちこたえられない。奮戦している秦兵は上官の将軍に叫んだ。風范は諦めるな黒里とその兵を励ます。 しかし、別の兵が俺達がこんななのに桓騎将軍の本軍は援軍ひとつよこさない、俺達をムダ死にさせていると嘆く。
風范将軍はムダ死にではない、この包囲から将軍が脱出するための盾だと言う。→👍🏻ここにもいたか、璧将軍のような男が。桓騎将軍が助かれば我らの犠牲は大いに意味を持つと風范は兵達に告げる。
しっしかし桓騎軍はずっと何も動いていない、将軍はもう諦めてしまっていると黒里が言葉を返した。
その時・・・・・・か・・・桓騎軍が動き出した!? 北東部軍と戦闘中の趙兵たちも驚いて向こう側の桓騎軍に注視する。
じ・・・陣形を作っている!? 風范がフッと苦笑する。
風范「諦めるわけがなかろう。桓騎様は栄えある現秦国六大将軍の一角ぞ!」
前衛璧軍でも桓騎軍の動きを知る
何だ!? い・・・いきなり桓騎本軍が動いて陣を作ったようだが・・・ 何の形だ・・・!? ほ・・・細長い斜陣かと思ったが・・・奥にも別方向に伸びている・・・!? 何だあれは・・・・・・ 璧将軍も驚いていた。敵もあれに気を取られていますから今のうちにこの乱戦から脱出をと部下が壁に進言する。璧将軍はその言を採る。
桓騎軍の陣形は同じ平地にいる現場の者達からは認識できない
無論配置についた桓騎兵も同様である
この異様な陣の形を把握しているのは仕掛けた桓騎と引いた高所から見ている李牧だけである
鶴翼とと違う何だあれは、あの陣形は一体・・・と李牧の幕僚達は動揺する。李牧は私の知る限り・・・あんな陣形はありませんと断言する。
李牧様も知らぬ陣形をなぜ桓騎がと老将が疑問を口にする。李牧は誰かに教わった代物ではない、あの異様・・・あれは陣形を知らぬ桓騎がおそらく独自に考え出したものですと私見を言う。
前線では桓騎の本軍が目の前だと兵達は動こうとする。だが大隊長がそれを制する。
桓騎軍に不可解な動きがあった場合は“誘い”の危険があると李牧様から言われているから李牧様の命が下るまで待機を決める。いつでも突撃をかける態勢と敵の奇襲に注意を兵に命じる。
本陣の李牧は暫し考えるが、やがてあれはただのハッタリだと言い切る。
あの陣形に深い意味は無い、あるのは“谷”の罠と“足”の弱点のそれだけだと言う。幕僚達も概ね予想通りで、あの十時の“谷”の部分を攻めれば左右の挟撃に遭い敗れ、逆に出っ張った“足”の先端を囲い攻めれば簡単に食い尽くせると分かる。
李牧は五百年の争乱の間にあらゆる陣形戦術が生まれ精錬されたきた、その中であの陣形が今日まで残り伝わっていないということは、そこに有効性がないからですという。→🌌🤔この辺りは銀英伝のホーランドの話を思い出します。奇をてらうのと新生とは違う。
幕僚達はそれでもなんであの形を、ただの思いつきなのかと戸惑う。李牧は一つの狙いはこちらがあの異様に過剰に反応して包囲の形を乱すことと指摘する。隙をつくらせるためと皆も合点がいく。
故に李牧達は慌てず四本の足の先端を攻めて敵軍を減らしていくようにと命令を出す。足を食い尽くせば残るのは中央にいる桓騎だと。
趙軍の前衛各大隊は桓騎軍の陣形の“足”部分を包囲攻撃し始める。
い・・・いいぞ 敵はやはり十時の足の先端から食われていっている
当然だ奇をてらった愚策の代償よ かつ前衛は警戒心を保ったまま攻めている
桓騎は本当に何も出来ぬ
どうする桓騎 このまま時と兵を浪費すればいよいよ手は無くなり難なく討ち取られるぞ
趙軍が桓騎軍をまた削っていく。
桓騎本陣
摩論がやっぱり端からやられていると悲鳴を上げる。その時に桓騎は黒桜を出せという。唖然となった摩論。
聞こえねーのかとお頭が念を押す。もう焼けっぱちですと摩論が命令を下す。
黒桜軍が出る。中央から大隊が出たと趙軍が知る。
中間地に敵が出てきたので前衛の趙兵たちは乱戦を解き、新手に向けて隊列を組む。それをみた桓騎はもういいぞと摩論にいうと、黒桜を下げろと命じる。
理解できない摩論に桓騎は次は倫玉なと命じる。
倫玉が出る。前衛の趙兵達も同じように反応する。 お頭はもういいぞ倫玉を戻せ、次は後ろの朱魔だと命じる。
朱魔が出ると、先の二人と同じように止まってやがて下がっていった。
おっおちょくっているのか桓騎はァ 何なんだ一体・・・
お頭ァ ちょっといい加減に・・・ こんなふざけたこと続けてたら・・・
馬鹿にしたような桓騎軍の動きに怒り始める敵味方。両者の思惑に対して桓騎はこのままじゃ――何だ摩論という。
普通に話すお頭の言葉に摩論は戸惑う。 再度、桓騎はこのままじゃどうなるんだ摩論と問う。お頭の背後に日が見えた摩論が何かに気づいた。
同時に馬上で思案していた李牧が戦場に落ちる日に気づいた。
・・・・・・まさか・・・
桓騎「お前ら何もしねーってうるさかったが俺はずーっとやってただろうが “時間の無駄使い”を」
皆が目前の敵に集中する戦場に唯一人、染まらない男はそう言った。
如何なる時もその場の空気に染まらぬ。ある意味桓騎は『孫子』の理想像ですねぇ。。。。
まさか前回記事に自分がコメントしたのが大正解だったとは。。。
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コメント
>この辺りは銀英伝のホーランドの話を思い出します。
第三次ティアマト会戦の時は、ひどかったですね。
連携を怠って、ソロダンスを勝手に踊り疲れて止まった時に、ラインハルトの手でヴァル
ハラに送られた。
自分だけなら責任を取る意味も兼ねてよかったが、多くの正面装備と貴重な熟練兵も道
連れ。
原作を読んでいる時、大きな溜息をついた中学生の頃の自分を思い出しました。
>時間の無駄使い
桓騎は自分が正統派の用兵術を使えないのは、自分自身、よく知っているように思えま
す。
その上で、自分の用兵術と正統な用兵術を分析して、相手の思考を読み、正当である
が故の落とし穴に相手を落とすのが桓騎の戦い方のように思えます。
とすると、本格的な攻勢は、夜でしょう。
夜戦は、昼戦より周到な準備と、それに慣れた特殊な兵団が必要になります。
無論、李牧もそれを解っている。
練兵の中で、夜目が効く者を選抜し夜襲にも備えているのでしょうか?
それとも、何もしないで夜も時間の無駄遣いをするのでしょうか?
投稿: CIC担当 | 2022年7月 3日 (日) 02時25分
CIC担当殿、コメント万歳です。
>第三次ティアマト会戦の時は、ひどかったですね。 連携を怠って、ソロダンスを勝手に踊り疲れて止まった時に、ラインハルトの手でヴァルハラに送られた。
藤崎竜さんの銀英伝だと随分フォローされていましたが。。。 過酷な戦いであればあるほどチームワーク、「キングダム」では集の力が比例して必要になりますね。
>その上で、自分の用兵術と正統な用兵術を分析して、相手の思考を読み、正当であるが故の落とし穴に相手を落とすのが桓騎の戦い方のように思えます。
> とすると、本格的な攻勢は、夜でしょう。
今回で桓騎は己をいちばんよく知り尽くしているなぁと納得してます。「孫子」も彼を知り己を知れば百戦して危うからずというように、己を見失わないことが勝利の秘訣と述べる。
人は周囲に左右されやすい。その中で自分を見失わない男、自分を知り尽くす男がどのように負けるのか見物であります。
やはり夜襲はやりそうですねぇ桓騎軍は。。。
投稿: うしつぎ | 2022年7月 3日 (日) 19時39分