桶狭間戦記 最終章一、二話感想〔改訂版〕
- 「唐鏡の国」
- 「商業都市 津島」
第一話
小氷河期だった戦国時代。食(おそらく職もである)を求め、寒い中を必死で歩く流民の一段団。目指すは駿河国で、そこには名君主がいる。
永禄元年から三年間は“天下大疫”ともいう飢饉が続いていた。戦国時代とは何か。永禄三年(1560)、その謎を解く運命の年。
舞台は京都室町幕府から。 十三代将軍・剣豪公方様が今川義元に激怒していた。原因は義元が年来の将軍との連絡を絶ったから。進物どころか書状すら出さない今川家に将軍の権威はいらないのかと怒り心頭である。
そっちは栄えているくせに幕府に仇なすなら諸侯に義元討伐の触れを出すぞと脅す。応対していた今川家大使は朝比奈備中守泰朝さん。流石に恐れはばかってちょっと待ってください、主に伝えるからと何とか其の場を収めます。
その栄えている駿河国では駿府郊外に流民がわんさと集まっている。それを見ているのは三浦左衛門尉義就さん。他国で飢えた難民が駿府に集まっている光景に付き添いの小役人が義元様の御威光ですと誉める。が、今川家譜第筆頭の三浦が怒って流民を受け入れ続ければ当家が滅ぶと真逆の言葉を返す。
驚く小役人に三浦は応仁大乱では溢れかえる流民を対処できずに荒廃する話を出して啓発を促す。震え上がった小役人共々三浦は主・義元に注進に今川館に行く。館では朝比奈もいた。
そんな二人の不安をよそに今川館では歌技音曲で賑わい、街も繁盛している。こんな飢饉の折にと館に入った二人は音曲の者達をお引取りさせ、主に注進に執務室に行く。館(聴政の場)では役人が増え、多忙を極めている。
国主・今川治部大輔義元。 音曲が止まったのでカタブツの朝比奈・三浦が来たとすぐに分かった。 義元は多くの訴えごとを決済していた。朝比奈が新法度(今川仮名目録追加)以来、訴えごとが増えたと切り出す。その通りだと義元が言い、続ける。
「旧法度が“紛争解決”なら“紛争介入”が新法度だ。」
三浦は雑事に追われては国の大事がおろそかになりはしませんかと不安を述べる。更に義元が言う。
「解決が“奉仕”なら介入は“支配”さ。 支配は兵の大量増員を可能にする。」
わかりずらい二人に義元はそれぞれの不安が将軍外交と流民の問題だろうと言い当てる。二人は殿は従来と真逆の政治をしていますがと言う。
そう 我が新法度仮名目録追加は世の中をひっくり返す。そう豪語する義元は不安な二人に今に分かると教える。飢饉の先に何が起こるかなと。
Σ(゚□゚(゚□゚*) そして、世の中が化物・義元の言うようにひっくり返されていた。 飢饉で権威失墜はなはだしい室町将軍は如何なる位にも叙任するから将軍家を見捨てないでと今川家に助成を頼むまでに。
流民が集まるが混乱は起こらない。逆に流民を差配して荒廃した土地を甦らせる民政が生まれた。支配を強めた地域に彼らが定住すれば国力が強まると、見ていた三浦も主の治世に感嘆するほかなかった。⇒なあ、いつになったらこういう政治で人助けが出来る政治家が上に立つんだ???
改めて主の聡明さに感服する三浦・朝比奈。しかし、流民が増え続ければ国の食糧が耐えられないと朝比奈が欠点を申し述べる。⇒流石に譜第の者。朝比奈の言うように民が肥大化するのは避けられないと知っていた義元はある決断を下した。
是より尾張に侵攻す! 国を拡大する機が到来したとして、大義名分はいらないと断を下す。支配強化→流民による軍役者増加で国内支配が国家事業の需要に及んだのだった。
その頃、標的にされた尾張をなんとか統一した信長と馬廻り。信長は苦労した分だけ非道も許されると言うのだが。
第ニ話
尾張国国主・織田上総介信長。 一戦を終えたばかりの信長は馬廻りと共に対馬に足を運ぶ。服部小平太・小藤太兄弟、河村久五郎、恒川久蔵ら悪童以来の仲間たちと津島に行く。服部兄弟が女の乳、尻をなでてセクハラするが、女も負けずにぼんくら共とやじり返す。
米粟稗がない年は大乱が起きる。飢饉続きなのに津島は景気が良すぎる。米がない時は粟稗が売れるが、その粟稗も不作だった。この景気良過ぎを信長は軍需の皮革移出のためだと考えて、馬廻りの仲間たちにツテを回って移出量を調べさせる。
信長は伊勢神宮の神主や今川仮名目録追加を見直したりして現状の分析と敵を調べる。幕府の権威失墜で後ろ盾を今川家に求めた上層民は寄親、下層民は寄子とした寄親寄子制度で支配強化された駿河国だが、施行の合否は義元の武威次第になっていた。⇒中央集権的なんですな。
伊勢神宮: 正式名称は神宮。一つの神社の名称でなく百二十五ある社の総称。内宮と呼ばれる皇大神宮と外宮と呼ばれる豊受大神宮がその代表。
(´Д`;≡;´Д`)アワアワ 恐るべし義元 伊勢湾全域に「皮留」による皮革輸出規制を打ち出して、軍需品から尾張を締め付ける。移出するばかりで軍需品は尾張に入ってこなくなる。
伊勢神宮の神主も信長を目の当たりにしても織田家に味方するとは言えず、神宮の選ぶ道をくじで決めようとするほどに。
改めて今川義元の強大さを思い知らされた信長は、己の女々しさと恐れを認める他なかったのだった。
これは前の自分のブログの感想記事を一部脚色して書き直したものです。
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