キングダム 第九十九話

信！中華一番!!

＃「六大将軍」

　

　蒙武の上奏で皆の空気が一変する。　信が六大将軍について壁に教えてくれとせがむ。壁が言おうとする前に蒙武が喋り始める。

　【上奏の理由】
　三代前、戦神・昭王の時、秦国は中華で最も危険な国だった。一度、行軍を始めれば敵は恐れおののき全ての門を固く閉ざした。なぜそんなにも他国の脅威になれたのか？　六将、昭王によって任命された六人の大将軍が中華全土を所狭しと暴れまわったからだ。当時の中華の人々は六将のいる秦国を心底恐れていた。だが、昭王と『六将制度』無き今ではその武威は明らかに失われている。

　信はその制度というものに疑問を持ち、壁が昭王が作った特別な制度なのだと教える。尚も意味が分からない信が壁に問う。　
　当時、同時に数国と戦っていた秦国は遠く離れた将軍と連携して戦うことが枷になると思い、彼らに『戦争の自由』の権限を与えた。独断で戦いを展開することを許された将軍たちは、まるで敵国からは独自の意思で暴れ回る六匹の龍が野に放たれた心地だったろうと六大将軍について話す。　かっこいいと信はぜひとも採用しようぜと喜ぶが、昌文君が信の頭を叩いて放し飼いの龍ほどおそろしいものはないのだと窘める。

　蔡択も猛っていると蒙武を窘めつつ、魏との戦や国境でちらほら戦いがあると秦国の武威に陰りがあると認める。それでも蔡択はそれには一つ大きな問題があると言うと、蒙武は即座に謀反の恐れかと返して蔡択を頷かせる。　謀反とピンとこない信に、数十万を一手に束ねる将軍についてまわるのが謀反なのだと教える。だが、昭王と六将の間には鉄の忠誠心があった、それゆえに六将制度があったのだと制度の特殊さを強調する。

　蒙武は謀反などと俺の人生にそんな下らぬものはないと断言する。蔡択が何があるとせかす。

　武の証明！　この蒙武こそ中華最強!!その証明以外、一切の興味なしと正殿で吼える。大音声の蒙武に昌文君たちも驚くが、信は蒙武に自分と同じものを見たような感じを受けた。

　最強の男。　言うことがでかいなぁと言う蔡択は、そこに貴様より強い男がいると昌平君を指差す。指された昌平君は冗談が過ぎますぞと答えた。　昌平君を置いてと前置きした蔡択はあの男、唯一現役の六大将軍の『怪鳥』王騎はどうなのだと蒙武に言う。王騎の名を聞いて信は魏との戦で教えてくれたあの将軍がと仰天して声が出そうになるが、壁が口を押える。蔡択が六将を出せば、さすがにあ奴も黙っておれんと儂も苦手なあ奴がと言う。
　関係ない、奴の時代はとうに終わったと言う蒙武は口を出すなら粉々にすると拳を突き出す。信がやれるものならと大声出そうとするも、壁がまた口を押える。

　蒙武の話を聞く呂不韋。　蒙武は自分なら秦国の武威を昭王以上にできると今すぐ六大将軍の権限を政に求める。にわかに呂不韋がいいかげんいせぬか、王に対し無礼にもほどがあると蒙武を咎める。話が長すぎ、足が痺れてしもうたと呂氏がおどけるように言うと、蔡択も話長すぎと蒙武をからかう。　呂氏が蔡択に先生も煽り過ぎと忠告し、大王に配下の無礼を謝する。
　蒙武の上奏を呂氏が抑え込んだと言う壁に、ようやく座った昌文君が六将は独立色の強い巨大勢力だから呂氏にとっても我らにとっても目障りだからと話す。呂不韋は六将制度は兵、食料を供給し続けるため国に大きな負担を強いられると申し上げる。それは政策に大きく関わる問題であり、一武官が軽々しく口にできる代物ではありませんと政治面での損失を述べる。　しかし、軍事強化につながることは明らかと長所を言い、気がかりなのは謀反ですが昭王のようにしっかりと将達を把握していれば問題はありませんと可能性も言う。
　かといって若き大王様にこの負担を背負っていただくには余りに気の毒だと呂不韋は言う。政は呂氏の言葉で勘に障る。　そして、呂不韋は私の忠誠を誓う腹心共の中で特に武に通ずる者達を六将としてはいかがでしょうかと代案を持ちかける。昌文君が呂氏が自分を中心とする六将を作ろうとするつもりかと驚き、政も複雑な表情を浮かべる。

　代案を出した呂氏が笑い、六将は大事ですからゆるりと煮詰めてまいりましょうと話題をそらす。蒙武にはこの謁見は大王様のご無事を祝うためのもの、お前の上奏はひとまず預かると蒙武を抑え込む。

では大王様、これにてと言って一派と共に呂不韋は圧倒的な威圧を残して正殿を後にした。

(｡･ｗ･｡ )威圧しまくり、悪事すら一蹴させる呂不韋の圧倒的なでかさ。。。