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無並みの英雄

曹操と孫権。 北と南の英雄を語る。

一. 曹操に影響を与えた人達

西門豹 : 中国の戦国時代に魏国で活躍した名官僚。 主に民政、行政官として治績を挙げる。 鄴の長官として民衆のための行政を施し、福祉に力を入れた。 特に古代では珍しく迷信にとらわれない人物でもあり、清廉潔白な人物で有名な人物である。 が仕えた君主が名君・文候。

が鄴の治績を報告すると業績悪いと聞いていた文候が免職させようとする。言われたは長官の仕事・治め方が分かったと言って再度のチャンスを願い出て、文候が許す。 3年たっての業績が良いと聞いた文候はを褒めるが、豹は最初の時は民衆のためだけに仕事をしたのに、今回はご主君の取り巻きに仕事をしましたと言う。 文候は恐れ入って辞表を出そうとしたを引き止めて、長官を留任させたと言う。

が鄴の長官として黄河からの用水路を引こうとする。それを聞いた民衆は河の神様が怒って祟るから駄目だと言われる。 河の神様を鎮めるための儀式があると聞いたは土地のことをよく知らないから儀式を見たいと言う。 儀式に参加したは河の神様を鎮めるための生け贄に捧げる娘を見るなり、この娘では河の神様の怒りを静められないから河の神様に伝えるようにと、儀式を主催した巫女達や長老達を黄河に叩き落す。勿論、全員水死。 民衆は度肝を抜かれて、以後の用水路の工事に河の神様のことを誰も言わなくなったという。

曹操は済南の相の時でも邪教を廃止して民衆を救う行政をしている。 また、遺言状でも自分の墓は西門豹の廟の小高い丘のところに造れと言い残すほどだった。

孫武  世界で最も有名な中国の歴史人物。 言わずと知れた春秋時代の呉の兵法家。 『孫子』の著者の兵法家は山東省の生まれであっても南方の呉国に仕えた。小国であった呉を隣国の大国・楚や斉を破るほどの強国に育てる。出処進退も優れ、仕えていた王が死ぬと、後継者である王の息子に器量の不安を感じて、軍師の職を惜しげもなく辞する。(この息子で呉は滅亡する)

曹操は『孫子』の注釈書を後世に残すほど、孫子の兵法を活かした。 戦場では奇策を重視、特に相手を誘う誘引の計や相手の急所を攻めて、弱い箇所を攻撃する戦法は孫子の兵法に極めて忠実であった。

劉邦 : 項羽に勝利した漢の初代皇帝・高祖。 農民で最初に皇帝になった英雄。曹操と同じ沛の生まれ。劉邦の最大の武器は何と言っても配下の優秀な人材。名門貴族、昔なじみの盗賊仲間、自分の兄貴の嫁に手をつけた男、絹商人、浮浪者、かつて手を焼いた敵国の武将など経歴素行不良といっても見込んだ者は重職に抜擢する度量を見せる。(この行いにはどうやらモデルがいたらしい) また、死に際も素晴らしく皇帝でありながら不老不死や延命を望まず、自然に委ねて生涯を閉じる。

曹操もまた人材の発掘には意を注ぎ、求賢令には自分の兄貴の嫁に手をつけた男を引き合いに出してまで人材を求めようとするところは郷土の先輩にあやかろうとした。袁紹と天下取りの方策を論じたときも四海の賢士を集めてと言うほど。死に際まで先輩にあやかったのだろうか。

二. 孫権仲謀。 『三国志』で最も嫌いな人物。

孫権仲謀。 孫家の三代目にして三国志の呉の英雄。 英雄を何故嫌いかと言われれば、今から語る。

孫権は兄・孫策伯符のあとを受け、呉の君主となる。眼が青く、碧眼児といわれる。 兄の偉業を継ぎ、優れた名臣達を集め人材を育成するなど、国家の宝は人材であることをよく知る君主である。おかげで曹操の大軍を赤壁では破り、荊州の関羽を倒して長江下流域を完全に支配下に治めた。 その後も蜀の劉備の大軍も撃破、魏の侵攻を防ぐなど呉の国威を大いに高めた。⇒それが悪いわけが無い 私が許せないのは、ここからだ!!

蜀が漢王朝復興を目指して北伐を続けていた頃、孫権は皇帝となり呉王朝を立てた。そして、皇太子を決めるが孫権より早く死んでしまう。 皇太子の席が空いたためにやがて次子を立てるが、別の后の子供を溺愛していたために処遇に差をつけなかった。 そのためにかつての袁紹死後の後継者争いが呉でも起こってしまう。 そして、権力争いで重臣までが被害を受ける。

吾粲陸孫孫権自身が認める呂蒙の後継者とされた朱拠顧雍の孫

吾粲陳武の友達だった孫呉の歴代総司令官補佐の軍師)は皇太子派で他の太子との処遇を強く主張。他の派はこれを僭越として孫権に罪を鳴らす。孫権は認めて刑死させる。  

吾粲がー!!  それだけで済まなかった。

陸孫劉備を破った呉の総司令官)も皇太子派で孫権に諫状を書き、駐留地域から孫権の本拠までわざわざ会って諌めようとする。しかし、孫権は太子派の讒言に耳を貸して会わないどころか逆にへ問責状を出す始末。陸孫は愕然としてこれが原因となり病気で憤死する。 

陸孫までもがー!!! 

朱拠は太子派に誅殺される。 顧雍は遠く流されて、中央に戻れずにそこで病死。 

「老いた駿馬は駄馬にも劣る」

陸遜までが死んで老皇帝はようやく派閥争いに決着をつける。 それは、皇太子は廃立、太子は処刑。(しかも皇太子は後で自殺する) 新たな皇太子には若く美しい后との子供で十歳足らず。

孫権老いたり! 太閤秀吉の末路そのまんまじゃないかぁーー!!

かつて、これを読んだ私は心底、落胆した。 結構、ゲームでも選ぶほど気に入っていたのに…。 これを契機にTVゲームにやる気なくなってしまった。いまではゲームはやらない。

正統三国志漫画「蒼天航路」で孫策伯符は死の間際にこう言った。

「孫家は、我が孫家は代を重ねるほどに豪壮になってゆくのだ。」

伯符よ、貴方の自慢の実弟は孫家は代を重ねるほどに衰弱させたぞ、見事に!!

金持ちは三代までが勝負とはよく言ったものです!!

孫権、英雄の裏切り者が! お前なんか呂布より嫌いだ!!

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