衣食足りて栄辱を知り倉廩満ちて礼節を知る
キングダム第424話
#「夢のような国」
若き日の商才――! まだ一介の商人の呂不韋。彼は師匠と商いの帰り道で戦を見ながら話す。
たまらぬな不韋と師匠が悲しげに言う。我々が届けた武器で正に今殺し合いが行われておる、戦こそ正に人の愚行の極みだと嘆く。師の言葉に呂不韋はそれもまた人の営みの一部ですと気にしない。それよりも武器商人とはやはり儲かるようですねと商いのやり方に興味を抱く。 師がならん、ならんぞと弟子の才気を窘める。今回はたまたま火急の大金が必要だったのと、連中が五倍の値に乗ったので流したが我々は節度のある商人であり、武器にだけは手を出してはならぬと自らの利道を説く。 自分らの目の前でバタバタと人が死ぬ戦。だが戦で利を手にする者は彼らではなく彼らの国の中枢の人間たちである、戦とは虚しいと師は呂不韋に言う。
虚しくありませんが愚かだと思います。呂不韋が言い、師もその言葉を肯定する。が、愛弟子はその軍資金があるなら私はもっと別の楽な方法で彼らの勝つ方より多くのものを手にできます、金の使い方がまるでわかっていないと。 ⇒\(;゚∇゚)/感心する方向が江戸と大坂ほども違うわぁ。
国の為政者は気付くべきです。
人が手に入れた最強の武器は日々進化する剣や槍ではなく“金”であることを
才気活発な弟子の言葉に師は気付いてはいる、ただ悲しいかな連中は金の御し方に詳しくはないのだと話すが…。
御すのは金ではなく人の“欲望”です
金を使って“欲望”を操り国を大きくするのです
言ってることがでかすぎると思ったのか師はならん、ならんぞ不韋と咎める。それは一介の商人が口にする言葉ではないと。 それでも呂不韋は一介の商人ではない、私は必ず並み居る商賈の頂点に登りつめて全てを手に入れますと己の道を宣言する。
有り余る自分の才に不敵に笑う呂不韋。そんな弟子に師はそれでもだと才気の危うさを憂いて言うのだが…。
ヾ(.;.;゚Д゚)ノ それから数十年後、その弟子は欲しいものを縦にするところまであと一歩まできていた。。。 相国にまで上った元・商人は秦王に語り始める
“貨幣制度”が“天下”を作った
“金”が人の“欲”を増幅させたからです
人の欲の言葉に瑠衣が嫌悪する。呂不韋は続ける。
千年以上前「商」の時代とも言われますが貨幣制度の誕生で物々交換であったそれまでの世界が一変した。 運搬しやすく腐らぬ貨幣は物流に“距離”を与え散在していた社会を次々とつなげ広げていった。
しかし、金のもたらした最大の発見は別の所にありました。
裕福の尺度:あいつは“金”をいくらもっているのか、人は他人との裕福度の比較をする物差しを手にしてしまったのです。 当然 、生まれたのは“他人より多くを得たい”という強烈な 我欲
呂不韋の論に瑠衣も気づく。政や李斯も認めざるを得ない。
それから千年 物々交換の範囲で生きていた人々の世は中華という広大で複雑な世界へとまで進化した。
とどまることを知らず成長し続ける我欲の応酬が為した世界です
呂不韋は更にそして人は“天下”という言葉を口にしだしたと説く。
嘗ての世は“天”の恩恵にあずかる世界 “下”はあまねく天に支配されるものであった
―が天の下が中華となりそれは人間がその手で支配できるものではと思わせるものへと変った
天も驚きでしょうと笑う呂不韋。
人が“金”を手にしてだけでここまで増長・進化を遂げるとは。
しかし、私に言わせればまだまだです
豪語する呂不韋に恐れを抱き始める李斯、瑠依。蔡択は黙ったまま顔に何も浮かべない。 大王がまるで金が全てのようなもの言いだと返す。 呂不韋はそこはあえて断定いたしましょう、そうであるとと事もなげに言う。 ならばと大王はお前が王となれば人の我欲を至上とする醜悪な世になるのではないのかと切り出す。 瑠衣がそうだと言わんばかりの顔を見せ、蔡択もその目指すところの危うさを感じる。 しかし、呂不韋は…。
戦争を第一手段とする世の中よりはるかにマシでしょう
大王の目指す世の危うさを逆に切り返す。痛いところを突かれ反応する大王。
為政者は国民に血を流させてはなりませぬ
為政者は国により多くの幸福をもたらす者であらねばなりませぬ
そして、自分は誰より深くその方法を知るものだと大王の前で言い切る。瑠衣がたまらずに自惚れるな、お前に何がと言う。けれども蔡択は自惚れではなかろうと言う。
貨幣制度と共に生まれた商人、金の流れに身を置くことを生業とし誰よりも金を通して人の世を洞察してきた者達。 その中で一代で中華指折りの大商人となり相国まで駆け上がった呂不韋はその稀有な知識と経験は他の誰よりも及ぶところではないと。 瑠衣も黙るほど確かに実証されていた。
ある意味対照的ですなと呂不韋は話を続ける。大王はなにやら理想をかかげて国を治められようとしているようですが、
この呂不韋は
“金”を操って国を治めまする
はたしてどちらが国民の喜ぶ治世となりましょうといよいよ本題に入ろうとする。 蔡択も興味深いと二人の対話を立ち入ろうとする。 では“金”でどう国を治め、どう今の中華と向き合うのかと呂相国に直に問う。 李斯も固唾をのんでそれを聞こうとする。
全実権をこの呂不韋にゆだねられるなら、私は十年で秦を中華史上最も富に満ちた国に成長することが出来る
物があふれ返り 飢えなどとは無縁の飽食 秦人全員が人生を楽しみ謳歌する国です
Σ(゚□゚(゚□゚*) 一堂が驚きを禁じ得なかった。
それでも蔡択がまるで夢のような国じゃと褒めつつ、しかしこの乱世がそれを許すかなと戦乱の世でそれが叶う可能性をぶつける。だが呂不韋は乱世たればこそですと自信を持って答える。
この五百年の争乱、人は十分すぎる程「怒」「哀」に浸かってきた。国を問わず人が今渇望するのは「喜」「楽」です。
ならば秦は溢れんばかりのその「喜」「楽」をつかみ他に示せばよい。他国の人間は必ずそれを羨ましがり秦に流れてくるでしょう
他国の王が危機を感じるなら富を分け与える。さすれば王達も喜んで秦と手を握りに来るでしょう
刃ではなく富を交わらせて関係を築くのです。
そうすれば後はやり方は同じ 列国それぞれの持つ資源・産業を循環させる役を秦が担う。
秦を中央にすえた中華全体の発展・繁栄。 “暴力”ではなく“豊かさ”で全体を包み込む ⇒ (lll゚Д゚)最初に呂不韋に包み込む恐ろしさを感じた信の勘は当たっていた。
それが私の考える正しい『中華の統治』です。
ブッコミヤガッタ━━((゜Д゜Uu))━━!!!!!! 秦なくして経済を回らぬ世。蔡択だけでなく全く別世界の統治に皆は驚き、改めて只者でないと大王は相国を危険視する。 呂不韋の論はさらに続く。
つぶして従わせるという蛮行は争乱の世にこそ大国が見せてはならぬ姿。ましてや敵国全てを暴力で征服し尽くす「中華統一」などもっての他 ⇒現代でもどこぞの某大国に聞かせてやってくれませんか、相国様(汗)。 あからさまに夢を否定されて大王は憤るも、呂不韋はそれを制する。
大王の理想とするところは理解できまする、国が一つになれば国家間の争いが無くなるとと政の夢への一定の理解を説く呂不韋。
しかしそれは勝利する側の身勝手な夢の押し付けに他ならない と否定する。
もしも武力統一が成ったとしても残る現実は勝った秦一国と討ち滅ぼされ征服された六つの敗北国。
どれ程の悲劇がこの中華を覆うのか 祖国を守らんと散った兵士、略奪と虐殺、大地には血の川が流れ、その上に満ちるのは残された者達の悲しみと絶望 聞いている瑠衣の顔にも哀しみがにじみ出る。⇒嗚呼、それを知るだけに余計辛い後世の私達…。
そして秦への怨念 政にとっても禁忌の言葉が出る。 呂不韋は間違いなく中華史が未だ経験したことのない闇の世となりますると論破する。言われる大王の顔にも苦渋の色が露わになる。
そこに何の光があるのです
当然 自国民にも多大な犠牲を強いる
滔々と述べられる呂不韋の論。 瑠衣にもはや先ほどの威勢は口にすらできず、太后でさえ聞き入り、大王は返しきれずであった。
それらの全てを“中華統一”という夢の代償として“善し”と考えておられるなら それはもはや狂気の沙汰としか言いようがない!
それでもまだなお“中華統一”が王の道として揺るがぬとオおっしゃるのなら
大王 あなたこそ誰よりも玉座にあってはならぬ人間です
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
大王へ全否定キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
全開・呂不韋キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
なんか奥までキテルワ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
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