責任感
#456「副長の責任」
作戦会議
- 渕さん達が激流の場所を何とか対岸まで渡り、その足で凹地の右端の敵の背を打つ。
- それによって信たちが右岸に上陸し、上陸後は一気に岸を制圧する。
- 後続の渡河の道を確保する。
貂は舟も橋もないこの‟無手”の川攻略の絵図を幹部たちに披露する。その中で我呂が人選はそれで間違ってないのかと貂に問う。聞いたところその作戦は一手目の激流地の渡河が全て、本人の前で言うのもなんだがそんな大役を渕副長に任せて大丈夫なのかと不安を口にするのだった。
その渕さんが激流を渡る。
対岸に渡された綱をつたい、渕さんが先頭を切って激流を渡ろうとする。しかし、速い流れのせいで川の真ん中辺りから進めなくなっていた。 つかまっているだけでやっと、とても前には進めなかった。
“渕副長に任せて大丈夫なのか” 渕さんは作戦会議での我呂の言葉を思いだす。自分には荷が重い。対岸で兵たちは自分を励ます声をかけてくれているが…。その思いは渕さんの中では今に始まったことではなかった。。。。
そもそも…これだけ成長・進化した飛信隊の副長をこの私如きがまだ務めていいのかという問題があるのだ――
そもそも私は武人じゃない。元々はただの王宮と信殿の連絡係〈第104回〉
それがひょんなことから信殿と一緒に王騎将軍の城へ行き〈第105回〉
信殿の修業につき合わされ無国籍地帯平定の補佐をしただけだ〈第106回〉
その流れで結成当初の飛信隊の副長になった〈第113回〉
最初は楽しかった。信殿を補佐できることが嬉しかった。
だが、隊が膨れ生粋の武人の楚水殿も加入・副長となり、軍師には河了貂と両人共に代えの利かない働きをし、もう一人の副長・羌瘣殿に至っては将軍の座すら狙える傑物だ。(しかも最古参で副長同期)
そんな中 私の役割はいよいよ小さい。大した武力もなく知力もない……
副長という席につりあっていないのだ。これ以上 飛信隊が上に行くのならば私の器じゃとてもじゃないがついて行けぬ…
―いや 飛信隊はもっともっと高みにいくのだ。だから私はそろそろ身をわきまえて―
なのに なのに河了貂と信殿は…
我呂のセリフに信は新参が知ったような口を叩くんじゃねえと怒る。入って四年目、新参じゃねえぞコラと我呂も言い返す。 貂は我呂の言いたいことはわかるけど、これが正しい人選だと言い切る。
この渡河には“武力”も“知略”も必要ない、必要なのは“別のもの”なのだと。そして、それは渕さんが誰よりも強く持ち合わせているものだと言う。当の本人はわからない。しかし、信はわかっている。 わからない我呂が渕副長がそれは何かときく。
責任感。 貂と信が同時に答えを放つ。たった百人から始まったこの隊の…結成当初から副長を七年務めてきた、信頼を置けるのは武力や知略にだけじゃないと信は我呂に言って聞かせる。
信はその渕さんに言う。やってくれ、この場を一番に任せられるのは―渕さんだ!
激流を渡りあぐねている間にも上流から血が広がりつつあった。しかし、渕さんは激流の中、水に飲まれつつも着実に川岸に向かって歩を進めていた。
ふ… ふふ 信殿。あなたはアホそうに見えて…意外と策士だ。
そんな目で そんな風に言われたら…
成し遂げぬわけにはいかぬじゃないですか!!
ひるむな、進めェエエエ! 副長・渕の果敢な渡河に兵たちも続き、激流を渡っていく。 岐鮑も渕副長の人選に不安があった。だが、目の前の光景を見て、信隊長や羌瘣副長みたいな怪物じゃない渕副長だからこそ見せられる背中もあると思い直す。 奇跡が起きるかもしれないと。
凹地で踏ん張る信たちは文字通りに趙兵たちの矢の的になっていた。
盾は矢が刺さりまくる。兵達も射られて倒れる者が続出していた。我呂は限界とみて信に撤退を勧めていた。しかし、信は無駄じゃない、敵の目を引く立派な役目だと言い張る。いつまで目をひくつもりだと我呂も音が上がっていた。
その時、信は右に気配を感じる。
そう、それは…、
趙の凹地の右端の背を叩く、自らの限界を超越し、“無手”の戦況を覆した渕さんの部隊だった。
┗(^o^)┛パーン 渕さんのターン来た――!!!
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