雌伏
#469「一瞬の出来事」
丘をめぐる熾烈な戦い
ゼノウ隊について行けなかった尾平たち。 丘の死闘で道に外れて崖に落ちていく者もいる。熾烈な戦いにビビっていると、後ろから突き飛ばされる。 黒桜の隊がどこの者だと聞かれ、巴印がゼノウ隊についていけと言われた左翼から来たものだと答える。
ゼノウの後続の尾平らに黒桜隊の男はゼノウ隊は敵将慶舎を殺しに行ったが空振ったと近況を言う。もうあっちにはやることはねぇ、てめぇらもうちらに加わって戦えと指図する。巴印は戦うってどうやってと訊き返そうとするが、すぐにどうもこうもねえと怒鳴られる。
黒桜の姐さんから全軍突撃の号令が下った、俺らは突っ込んでいって目につく敵を片っ端からぶっ殺すだけだと息巻く。 お頭も姐さんも今日決める気でいる、半日でこの丘を分捕るぞと言って敵目がけて突撃していく。 尾平たちもつられて丘の戦いに参戦していったのだった。
丘の離眼軍。 紀彗、馬呈、劉冬らが味方の陣を廻っている。駆けつけた連苛の部署は踏ん張っていた。しかし、周邦と黒公の部署は壊滅しつつあった。
丘の主道を守る三点を敵は攻めていることに気付く紀・劉。紀彗は壊滅して黒公を救うべく連苛から兵百を借りて向かおうとする。 劉冬は今からでは黒公を救えませんと諫めるが、紀彗は止まらない。 自分と馬呈が黒公の最前線に立ち士気を奮わせる、劉冬は後方に本陣を敷き全戦局を操作するように部下に命じる。 紀彗の体を案じた二人は城主自ら動くことに難色を示す。
だが紀彗は全てを出し尽くさねばこの敵は止められぬ、だが三人が力を合わせれば必ず勝てる。馬呈と劉冬に離眼の力を侵略者共に叩きつけると檄を与える紀彗。
飛信隊 これより三十分前に隊長・信が俺たちで慶舎を討つと奇襲をかけようと言う。皆の大半がまともに動ける奴の方が少ないと難色を示す。更には軍師の貂にも否定してくれと話を振るのだが…。
貂は逆にこれが起死回生の一手になるかもと考え直していた。 慶舎は独特の陣からおびき出してからでしか、今回のような形でしか打ち取れない武将だと言う。 桓騎将軍はそれを狙ったけど逃げられた、慶舎はもう二度と同じ手を喰らわない。 それを討つには慶舎が陣を再生させる前の今しかないのだと。
そして、それができるのは敵の視界から消えている飛信隊だけだと思うと軍師は言う。そういうことだと隊長・信も策を肯定する。
それでも奇襲が無謀な試みであることに変わりがなかった。慶舎を守る本陣の兵もいるし、この戦力ではやってみないと分からない。敵のど真ん中に単騎駆けする戦法、失敗しても成功しても一瞬の出来事でないといけない、それは…、
一撃必殺の策であった。 信を先頭に飛信隊が慶舎目がけて丘を駆け上がる。 だが、その姿に気付く者がいた。 後方の見晴らしのいい高地にいた劉冬はそれが慶舎本陣の伝令部隊のように見えた。そして、慶舎は気配で、近くにいる騎兵は動きで気づく。
疾風の如く動いた信たちは間もなく慶舎本陣の旗が見える距離まで近づく。 途中で田永が落馬するが、田永は構わずに行けと信たちを進ませる。 進む信たちだが思った以上に相手に引っかかっていた。余力が殆どない状態と察した貂が届くかと不安がよぎった。
心中の不安はさらに不幸を呼ぶ。 左上から飛信隊に矢の雨が降り注ぐ。 いい加減にしろ貴様らっ!!
劉冬隊が高地から飛信隊に襲い掛かる。飛信隊に横入りした劉冬。前の信と我呂は戻れない。貂はなんとか前だけでもすり抜けさせようと崩れる部署から兵を動かす。しかし、それが目立って敵に捕捉されてしまう。 貂を斬らんとする離眼兵たちは…、
斬り落とされた!!
斬れぬもの皆無の風切り音と共に飛信隊副長、戦場に帰還す―!!!
o(*^▽^*)o羌瘣たん、お帰りなさいませぇええ!!
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