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待機。ちょっと待って。

#511「列尾の罠」

 趙王都圏に戻る李牧軍に列尾城陥落が知らされた。 兵達は驚くと共に公孫竜将軍率いる援軍の動向をうかがう。 伝者は列尾には向かわず陽土に転進したと伝える。 列尾を攻めないのかと兵達の中から声が出るが、李牧は構わない、私の指示通りですと言う。

 李牧は列尾には私の施した秘密があると皆に告げる。秘密と聞き、カイネ、傅抵は驚く。 李牧はその秘密に気付かずに秦軍が動けばこっちのものですと断言する。 しかし、そうはならないでしょうと李牧は前言を否定する。
 副官・馬南慈おやはり王翦は気づきますかと言い、李牧も肯定する。 王翦はそこから一歩も動けなくなると李牧は見る。 副官・舜水樹は李牧様が王翦の立場であったならどうなされますかと問う。 もし私が王翦であれば多少の危険を冒してでもあれを見に行きますと言った。

 その通りに王翦将軍は配下たちと共に駆けていた。

 総大将不在! 貂が王翦兵達にどういうことなのとまくし立てている。 伝言とかないのと詰問される。部隊長があるにはあると、第一大隊長の亜光様から全軍列尾に三日待機とあったと答える。 
 はぁ!?と吼える貂。うるさいぞ、我らも今とまどっているのだ小娘と部隊長も言い返す。貂も三日も費やしたらせっかく李牧に先行した意味がなくなると吼える。 山民兵が飛身体の女は意外と気性が激しいと呟く。 我らに怒鳴るなと部隊長も苛立つ。

 本当に伝言はそれだけかと楊端和が横から口を入れる。この列尾城について何か言ってなかったかと。 まくし立てていた王翦兵はようやく静まる。 
 総大将の不在は桓騎軍部署にも伝わる。摩論、黒桜、雷土は何だそりゃの反応。酒を飲んでいた桓騎だけは城がやべーからだろと独語する。何かいいましたかと配下たちは聞くが、桓騎は何もと言って話を打ち切る。

王翦が姿を消して二日―秦軍は列尾から一歩も動けずにいた
無論、王翦失踪の件は上層部だけの秘密であり兵は次の進軍のための休養だと信じていた

 桓騎将軍は階段を上がる。とある部屋に入るとそこには下僕(信)、ちんちくりん(貂)、白老孫(蒙恬)、旦那孫(王賁)、山の女(楊端和)が揃って城の模擬盤を囲んでいた。

 信がとりあえず揃ったぞと蒙恬に言う。 騙しやがったな山の女と桓騎将軍は言う。端和は二人きりとは言わなかったぞと返す。貂は楊端和が誘ったのかと汗をかきつつ思う。端和は話があるのは本当、席について意見を聞かせて欲しいと桓騎に言う。蒙恬が信にそこは将軍の席だから空けろと言う。 不満な信は王賁にそこをどけと言うが、にべもなく拒否される。 さっさと始めろと蒙恬に言う王賁に切れかかる信だったが貂が抑えた。

Photo(^-^; あの時もそうだったが 

桓騎将軍は戦ではTPOを投げ捨てるけど、応対辞令ではきちんとTPO守ってるよね(笑)。 信はどちらも半端なだけでさぁ。(溜息)。

 この列尾城は意図的に弱く作られている! 蒙恬の言葉にたった一人気付いてない信だけが仰天した。端和は伝えてなかったのかと貂にきくと、オレも城内回っていたし、後うるさくなるからと貂が×悪そうに答える。 
 王賁が気付いていなかったのか、黒門という割に手応えがなかったのかと言う。信はそれはうちと山の民が強すぎたってことだ、のんきに後できた奴がケチつけんなとまくし立てる。 落ち着けと言う蒙恬。
 俺も飛信隊と山の民が強すぎると思ったんだと後押しする。それでも城内に違和感を感じ、二日間を見て回って確信したのだと。微妙な城壁の高さ、乱れた動線と意図的に守りづらく作られている。 そして恐らく王翦将軍は壱早くそのことに気付いて姿を消したのだと思うと語る。

 何でそれで総大将が姿を消すんだと信が聞くが、そこまでは蒙恬も分からなかった。何が何だか頭がおいつかねぇと信が言う。だろうなと王賁がつっこむ。 また信が苛立ち、国門なのに列尾を弱くする必要があるんだと問う。王賁が奪い返しやすくするためだと答えた。 
 列尾が強固な城ならば秦が手に入れた時には今度は趙にとって不落の城になる。だからあえて強固にせずに奪還しやすくしておく。

  1. 列尾を抜いて敵が王都圏に侵入した時、太行山脈に伏せてある軍を南下させ再び列尾を奪い返し、敵の唯一の出口をふさぐ。
  2. そして脱出口と補給線の両方を失った敵を王都圏の各軍でゆっくり包囲殲滅する作戦だ。

 尋常な戦略じゃない、王都圏を狙う強行軍に対して逆に誘い込んで殲滅を狙って待つ防衛策なんてと言う蒙恬。 練れるのは間違いなく李牧唯一人だと全員がその名に納得する。

 関している場合じゃねぇ、先行して優位に立ったんだから対応策をと信が吼えるが、王賁が手はないと即座に否定する。 信の抗弁の前に王賁は気づかんのかと一言水を差す。
 この大遠征の本命である鄴攻めは列尾を不落として補給線を確保し続けることが絶対条件のさくせんだった、その昌平君の大戦略がここで根本から粉々に打ち砕かれてしまったのだと理由を述べる。➡なんだかんだと王賁もよく信にしゃべるようになったわ 何だとぉと吼えつつ信は昌平君があんだけ練り上げた策が消し飛んだのかと震える。

 蒙恬は話を切り出す。 大将王翦がいない席でこんな話をするのも何だけれど、今の俺達の前には三つの選択肢があると思うと。一つ目は、

  • 列尾に当初の予定以上の兵力を残して王都圏に突入する。 (兵力があれば城だから何とかなる。但し、多くの兵力を割いて本命の鄴を落とせるのか疑問)

無理だ、それができないから連合軍で臨んだのだと貂が否定する。信が二つ目を問う。

  • 列尾城の弱点を改修、敵の攻城戦に耐えうる城とする

 城を改修なんてできるのかと信が言うが、王賁が止めておけと止める。 何日かかるか分からない、そんな悠長なことをやっていれば李牧が戻って列尾から一歩も先に進めないと。 蒙恬もだよねとやはりとの感で王賁に賛同する。
 そして、だったらやっぱり第三の選択しかないのかもしれない、信以外は皆頭にあるとは思うけれどねと。 信が悪い予感しかせず汗かきつつ三つ目の選択を問う。

  • 全軍撤退

 何言っている、こんなにうまくここまで来てと信が喚く。貂も先生の策が無に帰したならばたしかに今はそれしかないと賛意を示す。 王賁も勢いでどうにかなる戦いではない、不要にこのまま王都圏に侵入していけばこの二十万本当に全滅すると。三人共に撤退案になるので信が動揺する。 

 黙って若手の意見を聞いていた楊端和が、横の桓騎将軍に気付いて何を笑っているのかと問う。 蒙恬は桓騎将軍に目を向ける。

 やっぱ若ェなザコ共はと桓騎が言う。 何と息巻く信、顔をしかめる王賁、どういう意味でしょうかと抑制しつつ問う蒙恬。 若手三人に何でそこに第四の選択肢がねぇんだよと机に足を投げ出して言う。 第四の選択肢に若い四人が驚く。

 逆にこっちからこの列尾城を捨てて全軍で王都圏に雪崩込み、兵糧が尽きる前に鄴を分捕っちまうって手だ。  驚く信と貂。無謀過ぎると蒙恬が言うも、桓騎はだからザコだと言ってんだと窘める。 
 まぁだ分かんねぇのか、その手を取れるかどうか確かめるたえにあいつは今走ってんだろうーがと王翦将軍の動きについて話したのだった。

Photo

(`・∞・´)桓騎将軍は同じ大将の下で戦ってきた同僚だから分かるのかな?

(・_・)あれ....???  

でも昌平君は立案段階で蒙毅と兵站を考えないとか言ってたんじゃなかったっけ?

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