« 智者の慮は必ず利害に雑う | トップページ | 近況 »

焦燥

#515「小城の流民」

 秦王都・咸陽に衝撃の急報が響く。 

連合軍が列尾を捨てた━!!Σ(゚д゚;)(゚д゚;)━━!! 城には旗が立っているが兵はいない。王翦将軍から列尾はすぐ趙に奪還される故補給は送るなとの伝言。

 大王嬴政他群臣一堂が衝撃を受けた。 介億が軍が列尾を捨てたと言うことは…と横の主であり軍総司令へあえて問うた。 部下の介億の言葉を肯定し、昌平君は“我々の授けた策”を捨てて、今の連合軍は“王翦の策”で動いていると認める。

 王翦の策ときき、政に不安がよぎる。予想外の事態に文官たちは驚く。肆氏も驚く中で、昌文君がなぜ我らの策を捨てて先へ進んだのだと怒りを交えて論議の口火を切る。 介億はここまでは間違いなく上策であったが、現場の何らかの理由で捨てざるを得なかったのであろうと語る。
 しかし、合点がゆかぬ昌文君はならば即座に全軍退却すべきであろうがと吼える。連合軍は今持っている兵糧が尽きる前にあの鄴を落とさねばならなくなったのだぞと猛り、最悪の事態に顔がゆがむ。皆も一様に不安が増した。

 昌平君が伝者から連合軍の動向を問う。 伝者はまず楊端和軍五万が分離して趙軍九万と交戦に入ったと言う。 本軍進軍のための盾だと皆がまずは納得する。

 今度は昌文君が連合軍がどの辺りまで鄴に近づいているのかときく。 伝者は少し戸惑うが、鄴に向かわずに近くにあった小都市吾多へ攻めかかったと言う。 これには昌平君や介億も意味が分からない。
 他の文官たちからも兵站が切れたなら急いで鄴を攻めねばならないのではないのかと口々に言いあう。兵糧を奪うためなのかと昌文君が思ってみるが、介億はそうではないと思う。 昌平君にも分からない。

 たまらずに政が一体何が起こっていると問うが、昌平君は首を横に振るのみ。皆が愕然とした。 昌平君は盤上の駒を見ながら、王翦はそこで一体何をしていると心中で問う。
                                         

 吾多と同じことを繰り返す王翦。 城外に出ていく民衆を見て、流れはできつつあると王翦はよしと言う。流れの言葉を亜光が拾う。

 前の城と全く同じ事の繰り返し。兵糧を奪って、民間人を外に追い出す。 一体何の意味があるのか。 とうとう信がたまらずに口火を切った。 

「やい王翦将軍!俺たちはこんなことをやっている場合なのか!?一刻も早く鄴へ向かうべきなんじゃねえのか!? 山の民達はそのために盾となって今戦ってんだろーが。」 貂が咎めても止まらない。 その言葉は王翦軍にも聞こえる。蒙恬もおバカの特権と半ば感心してぼやき、爺も皆が口にしたくてもできないことをと半ば唖然とする。 

 だが止まらなかったのは信だけではなかった。その人物の行動に貂どころか蒙恬や王賁でさえ驚く。 なんと…。

王翦将軍キタ━━Σ(゚д゚;)━━!! 総大将が自ら馬を駆って信のそばまで迫った。 愛馬の馬具には蝕を呼ばんとする形相の彫刻、険しい顔に仮面からのぞく目が信をとらえる。
 まさかの行動に信は戸惑う。総大将の威圧に貂と渕は息を呑み、王賁でもその父に目を見据える。。

Photo【 問題 】 信の傍に来た王翦将軍。さてその心中ではどんな言葉が飛び交っていたでしょうか?

連載ではそんな描写はありませんので念のため。

  1. 黙れ小童
  2. 誰にものを言っている
  3. 聞こえたぞ小僧
  4. ぬかしたな小僧
  5. 下郎推参也
  6. 総大将の私に口を挟むと言うのか

 その王翦将軍の視線が下に落ちた。信には分からなかったが、蒙恬と王賁は信が持つ王騎将軍の矛を見たと分かる。緊迫した空気が和らぎ、暫し沈黙が落ちる。

 王翦将軍はその場にいる信たちに話し始める。 最初の位置から李牧が最短で邯鄲に戻るにはあと一日かかる。
 そこから王都圏の軍を統制し動き出すのに一日、それらが鄴の守備に就くのに一日、それまでにこちらの仕掛け を済ませておく必要がある。
 総大将の説明で皆はこれまでの行動の意味を知る。

 ここから鄴までの間にあと七つの城があり、王翦軍・桓騎軍・〈楽〉〈玉〉〈飛〉合同軍の三軍に分けて西から順に足並みをそろえて落としていく。 やる事は同じく兵糧を全て奪い、民を“東”へと追いやる。
 王翦将軍の具体的な作戦指令に信は驚き、頭脳派(蒙恬・王賁・河了貂)は東と聞いてその目的に思路を巡らす。

 その時、急報が入る。 列尾が趙の手に落ちた。太行山脈から五万が南下して占拠し、外にまで展開布陣し始めたと。
 遂に出口がふさがれたと皆が沈痛な心地になる。信がいよいよ活路は“東”だけだと言い、蒙恬、王賁ら皆も顔が引き締まる。 
 総大将は楊端和に本軍の動きに足並みを揃えよと伝令を出させる。ここからは急ぐぞと言う王翦。亜光がそれに応じ、軍が動き出す。

 その楊端和軍五万は公孫竜軍九万と馬知平野で対峙していた。 趙軍はこちらが攻めねば動かない、つつくと狂ったように白兵戦になる、半数で我らの足止めにしていると得意げになっているのでは等々と苛立つ。

 公孫竜は足止めをしているのはこちらの方がだと優位に立っていた。列尾を封じた時点で秦軍への兵糧攻めが始まっている。中で秦軍が何をしているかわからぬが、刻一刻と奴らの首が締まっているのは間違いなのだと。 飢えを感じて初めて、趙王都圏に足を踏み入れたことが取り返しのつかぬ愚行であると気づくと。 
 兵も将軍の言に頷いているとき、敵が東に動いていると報告が入る。何も状況は変わらぬと公孫竜は距離を保ったままで楊端和軍についていく。

【連合軍の移動経過】

  • 王翦軍:丁城→赤城→平城
  • 桓騎軍:丁城→辛城→石城
  • 合同軍:丁城→■城→山旦城

三軍が展開し中・小都市を落としまわり、城を追われた難民の群れは増える一方であった。
避難民の群れで北の撩陽の出が多い民が撩陽へ向かった方が厚く保護が受けられるのではと長老・黄弁にきく。だが、長老は北では十五万規模の戦場が広がり、いけば巻き添えを喰らうと却下する。 幼子や民の飢えの声が広まる中、長老たちは今は東に向かう。

 山旦城でその難民たちを見ている若手五千人将三羽。 難民作って落とした城は占拠せずに軍は次へ動かす。 信が俺たちは一体何をやらされているんだと吼える。➡ (゚m゚*) 渕さんが捨丸ポジに(笑)。 流石に全く同感な二将も顔がはれないまま難民たちを見ている。

 しかし、同じように見ていた羌瘣がやおら分かったと声を出す。信、貂が振り向く。聞こえた尾平がおー何が分かったのかな羌瘣ちゃあんと猫なで声で近づく。➡ ((ノ)゚ω(ヾ))黒羊の時が全く懲りていないんか。

 「イナゴだ。」 羌瘣の一言。 後ろの田有、信や貂も分からない。考え中の時間がしばらく続く。 そして、王賁と蒙恬が何かに思い当たる。 眼下に広がるのは難民の群れ。

 そして、王都圏南部に難民の大行列が出現したその時、李牧が王都邯鄲へ到着した。

Photo

o(*^▽^*)o 問題正解者のご褒美はキングダム全話感想記事のご招待であります(大笑)!!!

 人気ブログランキングへ

| |

« 智者の慮は必ず利害に雑う | トップページ | 近況 »

趣味」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 焦燥:

« 智者の慮は必ず利害に雑う | トップページ | 近況 »