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勇にあらずんば何をもって行わんや

#568「最強の戦士」

 壁面の地で楊端和軍と犬戎&趙連合軍が戦う中央ではタジフが犬戎を食い止める。踏みとどまる山の民達に左から騎馬が来る。殺せぇと叫ぶ犬戎たちの包囲から山の民たちは外に出られずにいた。 

 その中からバジオウが… 包囲を突破した! 敵の攻めを乱すために趙軍本陣に突撃をかけるとバジオウは隊に命じる。バジオウの切り開いた道を我らの脱出口にして楊端和が続く。更に中にいる全族長達に伝令を送れと側近のラマウジに命じる。
 包囲を無事に突破できた者は各部族に分かれて分かれて走り、さらなる追撃をかわし脱出して日の出までなんとしても逃げ切れと伝えよと。日の出まで、なら日の出の後はと配下達は命令に戸惑う。躊躇する。 楊端和は再び結集すべしと告げる。結集する場所は…
 
 月が昇る頃、壁面の地に到着したロゾと舜。ロゾは瞠目し、舜の顔は険しくなる。何だ、一体何が起こったとロゾは眼前の大量の死体にそうつぶやく。配下達も山猿たちを皆殺しにしたのか、我らも生きている者がいないと戸惑う。 そこに申し訳ありませぬと声を上げる者がいた。
 現れた公孫竜は包囲線だったのですが…仕留め損ねましたと言う。但し、楊端和の姿は見失っておらず今も趙軍・犬戎軍の両軍で追っておりますと現状を報告する。ロゾはここに追い詰めながら逃げられたというのかと言う。面目ないと言う公孫竜。 撩陽に来る前に刃を交えていた故侮っていたつもりはなかったが…楊端和軍の兵一人一人がまだこれほどの力を残していたとは想像していなかった。 楊端和軍の大半を討ち取ったが、我らも多大の犠牲を出してしまった。
 舜水樹がその失った腕はときく。隻腕の公孫竜は本陣めがけて数騎で突撃をかけてきた敵の第一将・バジオウにと答える。下がって手当てしろ、後は俺が率いると舜が言う。かたじけないと公孫竜は礼を言う。
 ロゾがぶははと笑い、ぬるいものだな趙軍はと嘲る。ロゾはこちらの指揮官は誰だと側に問う。 側の犬戎がガエズです、そのまま山の王を追っていますと教える。ロゾはガエズは追って首を刎ねた後にお前が率いて山の王を追えと命じる。終わったらガエズの一族は皆殺しだと命じる。 鼻で笑うロゾは公孫竜に良かったな片目、犬戎軍であれば右目をえぐって殺しておったところだと告げる。
 
舜は馬を進めて、急いで追うぞ、これだけ大挙して出てきて取り逃がすわけにはいかぬと言う。お前らの縄張りの外に行かれてはそれこそ面倒だと。ロゾは外へは出さぬ、すでに大枠は包囲してあると言う。公孫竜は楊端和は小さく分散して逃走している。この深い森に潜伏されるのが厄介だと言う。
 
 ガン族はきておるのだろうなとロゾ。配下は十人全員と答える。舜は追跡の専門かと問うと、ああとロゾが答える。 奴らの鼻にかかれば隠れることなどできぬ。どこまででも追いかけてくる“狩人”よ。 
 
 ロゾの言うとおり先導役のガン族は楊端和の隊を嗅ぎつけてすぐにその動きを指し示していた。 犬戎達が楊端和の小隊を見つけて追いかける。笛も吹き鳴らし周囲の味方を集めていく。         
 ここまで巻くことができないとは分散したのが裏目に出ましたと側近が嘆く。端和はこちらにそれだけ集中していることは他の部隊が助かりやすいということだと言う。再結集できればと楊端和。その前に端和様に死なれてはと側近。
                              
 前方から二隊が接近する。数が多いので側近達が端和の前を固めるが、端和は私のことはいいから自分が生き残ることを考えろと言う。
 かくして戦う端和達。 しかし、戦いの最中、端和は落馬した時に馬が自分の足に倒れてきた。そのせいで端和は足を折ってしまう。動けずにいる端和と側近の部隊が分断されてしまった。
 側近ラマウジは救援しようとするが、端和はそのまま右に抜けろと命じる。更に皆に再集結の場を伝えておけ、必ず会うぞと。
 
 馬と別れ部下と別れ息を殺していかにこの闇夜に隠れようと犬戎のガン族の鼻からは逃れられぬぞ。 そのガン族たちのたいまつの先に岩を背にして座っている楊端和がいた。
 とうとう二人だけになったなと犬戎が楊端和に言う。端和はもう一人だ、最後まで私を守った戦士ドッヂは今息を引き取ったと答える。 犬戎たちはならばそこまで武器を捨ててこちらに来い、犬戎王がお待ちだと各々が言う。目を閉じた端和は、まだそうはいかないと目に一縷の光を込めて答える。
 
 お前達が私の居場所を知らせるために笛を吹きまくったせいで駆けつけてしまったぞ、最強の戦士がな。愛馬を矢でいくつも射られても駆けつけたバジオウだった。
 バジオウがお許しを、間を阻む敵も多く、一騎で抜けて来るだけでも刻を要しましたと死王に言う。端和はすまぬ、相当に無理をさせたとバジオウとその愛馬に言う。同時にバジオウの馬が倒れた。
 犬戎達がバジオウは殺せ、山の王は片足を切り取ってロゾ王の元に連れて行けと叫ぶ。だがバジオウと端和は犬戎達を斬り結ぶ。だが死王が片足を痛めて動けないことにバジオウは気づく。その二人に犬戎達が囲む。
 
 それを見たバジオウは…、 死王を担いで下に降りて逃げた。犬戎達が追う。 死王に馬が追えぬ急斜面の茂みを走りますという。死王はならば私も走ると言うが、バジオウはその足では担いだ方が早いと拒否する。 走るバジオウから血が流れる。死王はいつも済まない、お前に一番血を流させると謝る。
 バジオウは構いません、昔そういう誓いを立てましたと答える。 死王はちょっと考えてから、立ててないだろう馬鹿と返す。
 バジオウの脚力に犬戎達が人を担いでのあの早さはと驚く。このままでは見失う。更にこの先はサハ渓谷だからバジオウはともかく山の王まで死なせるぞと焦る。 ガン族の一人が止まれ二人ともと叫ぶ。そのまま走ると渓谷に落ちて間違いなく二人とも命を落とすぞと。
 だが二人は足を止めない。バジオウに死王はお前を信じると言う。そして、バジオウと死王はそのまま渓谷を飛んだ。

 

 

Photoo(*^▽^*)o これぞ勇乎勇乎善き哉。

 

 

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