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小心な知恵者は全てを把握しようとして勝ちを失う。

#571「挽回の機」

タジフの石球が犬戎を叩きのめす。シュンメンはそのくらいでいいから馬に乗れと言う。ここには用はない、早く森の外に出ようとする。 タジフ、シュンメンら楊端和軍は傷ついた死王とバジオウを乗せて駆ける。すぐそこに始まっているフィゴ王と犬戎王軍の戦いの戦況を見るために…。    

 フィゴ族の軍は犬戎族達を押している。フィゴ王ダントはフィゴの勇者達よ、犬戎王の頸をとれぇと檄を入れる。フィゴ族も犬戎王を殺せぇ、ロゾはどこだぁと叫びながら戦う。   そのフィゴ族に犬戎王ロゾが鉞を振るって現れる。王はここにおるぞ、遊んでやるわ裸族共と笑いながらフィゴ族の兵を斬っていく。ロゾが王のダントよりも二回りもでかいとフィゴ族は初見の恐怖と感想だった。    

 左の戦場を終えて来たフィゴ族と犬戎王の軍はほぼ互角と楊端和軍は思う。 だがとシュンメンは犬戎王の軍は無傷の精鋭達であるから刻と共にフィゴ軍の勢いが無くなっていくと指摘する。ならば我らで加勢するかと他の者が言うが、この戦力ではと別の者は反対する。それよりも先ずは端和様を今のうちに逃がさねばと言う者がいた。その端和があれはと何かに気づき、つられて他の者達も端和の視線の先を見た。

楊端和を追って戦場を越えてやってきたのはフィゴ軍だけでなく反対側からこの男ブネンも― 丘の上から下の乱戦を見るブネン軍は山の王がいる一団、ロゾ様の軍を確認した。 裸族の軍がロゾ様の軍相手に善戦していると言う者がいれば、我らの加勢で一気に終わるという者もいる。 山の王はどうするかと誰かが言えば、私の隊で楊端和を捕らえますとブネンに進言した者がいる。それに対してブネンは…、  
 「いや俺が楊端和をやる。」 大将の発言に部下達が驚く。二百騎ついてこいと言ってブネンは丘を下る。部下達はブネンがロゾ王より先に楊端和をやるのではないかと恐れる。楊端和の隊はブネン達がこちらに向かってくると見て構える。 すぐに端和様の退路を確保しようと戦闘態勢に入る。 だが、端和はちょっと待てと言った。そのとき、ブネンの背後に破壊音が響く。    

 キタリ「やっと追いついたぞクソブネン軍がっ」 メラ族新族長キタリと壁軍がブネン軍に追いつく。 同時に眼下に広がる乱戦を見る。 戸惑う壁に対して、キタリはフィゴ族、犬戎王軍、そして楊端和がいる事で全てを察する。 壁は端和殿が怪我をしているのを見て驚くが、キタリが刃を向けてヘキショウグンと言ったので更に驚く。      「はからずも今日っ…今がこの撩陽の戦いの決着の刻だ」 通訳を介して壁は撩陽の決着だと告げられる。では私が端和殿を助けにと言うが、キタリが違うと言う。  

 「私がブネンを討ち兄カタリの仇を取り、ヘキショウグンお前は…犬戎王ロゾの頸を取りに行け!」 え"っと壁は二度ビックリ!!➡ヽ(;´Д`ヽ)(ノ;´Д`)ノそりゃあ端からの読者側でも驚くかも。。。 え"っじゃないとツッコミ入れたカタリ。通訳ポナンでも怪物だと犬戎王の戦いを見て思う。  
 キタリが楊端和は最初からこの形を狙っていた。一大勢力になる前はあいつらがよく使っていた手なのだと。仲間を信じて自分の身を切る作戦を…、この機に全てがかかってる…とキタリは死王の肚を知る。  
 キタリは壁将軍にお前は戦いもぱっとしない上に兵糧を焼かれた最低の男とはっきり言う。〔但し通訳は兵糧を焼かれたクズだけで止めた〕 だが、ここで敵の大将ロゾの頸を取れば全部帳消しにしてやるから、楊端和に…、我らに将軍壁が男であることを見せてみろろと発破をかける。〔ここでロゾを討ち挽回して男を見せろ〕 発破をかけられた壁は、一瞬目を閉じた後に決断する。    

 壁隊は下の乱戦に突入!狙うは犬戎王ロゾの頸!! 将軍に従い秦軍が丘を下り、同時にメラ族もブネン軍に向かう。発つ前にキタリはヘキショウグンに武運を祈るぞと部族語で言葉を交わす。言葉は通じずとも意味する所は壁にも理解できた。キタリ殿も武運を祈る、ブネンの頸と端和殿を任せたと返した。 

 (´,_ゝ`)プッ何じゃあ? 丘からの援軍を見ていたフィゴ王はメラ族ではなくて、あの頼りない秦将の隊が援軍となるのかと拍子抜けする。犬戎王軍も丘から敵の援軍だと色めく。     
 まあ来ぬよりかはマシかと笑うフィゴ王ダントだった。横から犬戎が襲いかかるが難なく顔面をたたき割った。 
 しかしよくもまあ敵も味方も皆が皆ここまできれいに楊端和の術中に嵌ったものだとまた笑う。 近くで聞いた犬戎達がバカが寝言を言っている、策にはまったのは山の王の方、嵌められたせいで今楊端和は追い詰められているのだとフィゴ王に言い返す。フィゴ王はああ確かに追い詰められている、お前達の城から遠く離れたこの地でなと言う。 

 その言葉を聞き取った舜水樹は後ろを振り向くと目の色が変わる 舜はどこへと部下達の言葉を尻目に急いで背後の趙軍の元に戻っていく。 その姿を見たフィゴ王はふっと笑う。部下達があの銀髪は軍を率いて犬戎の城に向かうのではと問う。我らは助かりますがとの声にフィゴ王は構わぬと答える。 奴の軍が着くまでにもし城を取れておらねばどの道、別働隊にその力が無かったということだと片付ける。➡ (゚m゚*)まさに“そんなことはスキピオに任せておけ”だ。指揮官の名判断! その優れた指揮官に破壊音が迫る。部下達も来ますと知らせる。

貴様らは二重の意味で死王の策に嵌まっている。楊端和は城だけではなく本陣から動くことがなかった貴様の頸も狙っておったのだ。貴様こそ自ら死線に出てきた大バカよ 死王に代わり大族フィゴの王ダントが貴様を討ちこの撩陽の最後の夜を終わらせるぞ。

壁が犬戎王の背後まで迫る中、フィゴ王と犬戎王の一騎打ちが始まろうとしていた。

 

Photoo(*^▽^*)o 壁将軍の言われっぷりも凄いがそれを堪忍できるのも凄いなぁ。

フィゴ王の軍指揮官としての判断にフリードリヒ大王やハンニバルを彷彿とさせました。

 

 

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