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分からぬ将来を心配するよりまず目前のことをせよ

#577「赤の他人」

 関常と番陽の会話に驚き、えっと信は声が出る。 声に気づいた関常は俺としたことがと刀を抜いてその方向に駆ける。  
 
 声の主は飛信隊の信だった。よりにもよってこいつにと関常は自らのうかつさを呪う。腹芸などできぬ信はなんだ今の話は、あいつが王翦の子供じゃねえとは一体どういうことだ副官じじぃと問いただす。声が大きいと番陽が咎める。  
 関常はそんな話は一切していない、お前の聞き間違いだとうやむやにしようとする。他で面白おかしく話をするなよ。王一族に仕える者として飛信隊信であろうと絶対許さぬと釘を刺す。
 
 信はすっこんでろ髭モジャ、俺は副官じじぃに話を聞いてるんだと答える。王賁の奴が実の子供じゃねえってどういう話だと。 関常はなんの話だととぼけようとするが、番陽はもういいと言う。    
 関常は驚き、もういいとはどういう意味だと言い返す。番陽は中途半端に聞かれておかしな吹聴をされるより、この男にはある程度は説明をする方がいいと言う。 
 関常がこの男は完全に部外者なのだぞと更に驚く。 それでも番陽は完全な部外者でも無いと答える。➡じいさん、少しは相手を見る目が甘くなったか。 秘密の話相手はよほどの理解者で無いとおかしくなるのは「アルスラーン戦記」老将軍ヴァフリーズでもあったなぁ。。  
 
 番陽は関常に戦況はいよいよ予断を許さぬ、明日には我らが戦死してもおかしくないのだと言う。だからなんだと関常は番陽の気持ちを測りかねる。  
 自分たちが死んだら王賁様の抱える苦しみを知る者が王賁様の周りからいなくなってしまうのだ。それだけは避けたい。 苦渋しつつ覚悟を決めた番陽は、よいか今から言うことは死ぬまで他言せぬと誓えと切り出す。
 
  信はそんなにやべぇ話なのか、実はあいつも戦争孤児とか王翦将軍の養子なのかと問う。 信の言葉に番陽はそんなバカな話があるか、元下僕のお前と一緒にするなと叱る。しかも養子ならば疑う余地など無かろうがと言われる。バカ呼ばわりされるが信は考え直し納得する。➡原作者師匠作のバスケットボール漫画の主人公を思い出すわ。。。  
 
(◎´∀`)ノ賁題  賁様のお母上朱景様は貴族中の貴族関家の娘だ。才女にして教養もあるので多くの家から求婚の申し出を受けたそうだ。 王一族も名家中の名家。両大貴士族の婚姻とあって参列者は何千人とのぼり婚礼の宴は三日三晩続いたという。
 
 結婚から程なくして朱景様は身ごもられた。中にいるのは勿論賁様だ。だが出産を目前にしたある日、妙な噂が流れた。  朱景様には王翦様の前に好いた男がいてその男の種を宿した状態で王翦様と結婚したと。  驚く信だが番陽は話を続ける。
 
 下らぬ噂話だ。だがお二人にとっては不名誉極まりない噂話。当然、周りは朱景様に問うた。しかし、そのことに対して朱景様は固く口を閉ざしたという。  信はまた驚く。関常も俺もそこまで詳しい話は知らなかったと驚く。 
 番陽は儂も当時のことは詳しくは知らない。儂の知っていることの全ては王賁様の教育係を引き受けた時に虞寧様から教えて頂いたものだ。
 
 とにかく朱景様が口を閉ざしたためにその真偽が不明になってしまったのだと。 知っている相手がいるんじゃねえかと信がじゃあその母ちゃんから無理矢理でも聞き出せばいいじゃねえかと問い返す。番陽はそれは叶わぬと答える。 
 
 朱景様はもう生きていない。 朱景様は賁様を産み落としてすぐに亡くなられたのだ。 返す言葉が無くなる信。  関常が複雑な表情で、決してあり得ぬことだが、もし賁様のお父上が王翦様でないとしたら…王翦様にとって賁様は…と言葉が止まる。番陽は…、 愛する妻の命を奪った赤の他人の子ということになると寂しく言う。
 
 信がまだ陣に戻っていない間、飛信隊本陣でも大変な話があった。
 
夜に楚水が渕、羌瘣、貂が突っ伏して寝ている本陣の中に駆け込んできた。驚く貂はおはようと挨拶したが、まだ暗いので敵襲かと問う。 敵襲の声に渕は驚く。楚水は貂たちにまずいことになったと知らせる。
 
 配給の準備に亜光軍に行ったのだが 亜光軍の蔵が…右翼の蔵の底が尽きた…兵糧が尽きたのだ!  渕はパニックになった。 
 
 貂は予備を楚水に問う。楚水は緊急時の予備は切り詰めて二日分のみ。しかし、本当に最後の兵糧故に飛信隊には回せないと言われたと答える。驚く渕。
 羌瘣が貂にこちらの予備はと問う。貂はこちらにもある、但し本当の緊急時用に切り詰めて一日、更に切り詰めて二日分。でも…それで本当に最後だと答える。
 いよいよきつくなってきたなと羌瘣。貂は肯定する。  
 
 朱海平原右翼十一日目 飛信隊歩兵が押されていた。 歩兵隊隊長の崇源に松左は大分弱っている、傷と空腹と疲れじゃなぁと窮状を察する。 尾平隊から救援要請が来た。
 松左が俺が行くと答える。崇源が松左と何か言おうとするが、松左は大丈夫さ敵も今日も派手には来ないと答えた。 今日はなと腹中で思う松左。  戦況は尾平隊は救援を呼んでいるが中鉄隊、竜有隊他は頑張っていた。
 
 本陣幕僚は味方が思ったより頑張っていると思う。 だが貂は逆に悲観していた。
 
 向こうが来ていないんだ、明らかに趙軍は様子を伺いながら戦っていると分かる。 向こうはこちらの兵糧があと少しだと気づいている。
 適当に攻めてきてこちらの体力を更に奪って…明日か明後日に本格的に狩りに出てくるのは間違いない。
 
 分かっている…分かっているから今日・明日の体力が残っている間にこの右の戦場を攻略しなければいけないのに全く何もできない。 亜光軍・飛信隊・玉鳳隊が今こそ力を合わせないといけないのにそれも出来ない。
 本当にあと二日で兵糧が尽きる。今はただ虚しく兵達の血を流させているだけだ。  打てる手がない。本営の王翦が何かしてこない限りもうこちらは八方塞がりだ。
 
 地図に突っ伏す貂の頭に信は手をあてて、あれを見ろよと別の場所へ顔を向かせる。
 
 玉鳳隊が趙兵達を蹴散らしていた。 貂はなんであんな無駄なことをする、趙軍の本番は明日以降なのにと言う。
 信は無駄じゃねえと答える。敵が明日以降に本気出すなら今のうちにその兵を少しでも削いでおこうってんだろう。 今できることをやっている。あいつは坊ちゃんのくせにあがいてやがると王賁に感情を込めて語る。
 
 俺らも今できることをするんだと信は貂を励ます。騎馬隊を出すぞと隊長が命じ、飛信隊騎兵団が応える。 信が玉鳳如きに遅れは取らねえと吠え,、飛信隊も出撃する。

 

Photoo(*^▽^*)o 流れが来るまで耐えるのは本当に厳しいよね

 

 

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