馬と水
📖王制篇第九第四節・・・
馬輿(よ)に駭(おどろ)けば、則ち君子輿に安んぜず。庶人政に駭けば、則ち君子位に安んぜず。馬輿に駭けば、則ち之を静むるに若(し)くは莫く、庶人政に駭けば、則ち之に恵(めぐ)むに若くは莫し。賢良を選び、篤敬を舉げ、孝悌を興し、孤寡(こか)を収め、貧窮を補(おぎな)う。是の如くなれば、則ち庶人は政に安んず。庶人政に安んじて、然る後に君子位に安んず。傳に曰く、君なる者は舟なり、庶人なる者は水なり、水は則ち舟を載せ、水は則ち舟を覆す、とは、此を之れ謂う。
馬車の馬が驚くと、君子は馬車に安心して乗ることができない。庶民が政治に驚くと、君子は位に安心して居ることができない。馬車の馬が驚けば、これを静めるのが最もよい。庶民が政治に驚けば、これに恩恵を与えるのがもっともよい。賢良な者を選任し、篤敬な者を推薦し、孝行な子弟をひきたて、孤(みなしご)と寡(未亡人)を保護し、貧窮者に支援する。このようにすれば、庶民は政治に安んずるであろう。庶民が政治に安んずれば、しかる後に君子は位に安んずるのである。言い伝えに、「君は舟、庶民は水。水はすなわち舟を載せ、水はすなわち舟を覆す」とあるのは、このことを言うのである。 以後省く
【うしつぎ感想】
君主を組織の長と捉えると統治の根幹を端的に記した名文です。馬も水も乗せて支えてくれる力になるが、心を寄せておかず世話もせずに放っておくと上に居ても寛げはしない。
馬にも水にも使命があるのだから。
日本の江戸時代屈指の名君・会津藩藩祖の保科正之も孝行者を顕彰して藩政を治めました。
性善説の孟子でも同じような事に触れています。
(︶^︶)2023年現在、孝行者を顕彰するのを聞いたことが無いぞ! どうして行政の長たちは実行できないのだろうか?
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