「どうする家康」の武田勝頼の戦略

武田勝頼「狙うは岡崎、徳川信康、築山殿」

視聴していたうしつぎが思う

(✿◡‿◡)　狙いは悪くない。今ではそうみます。

勝頼さんの岡崎城クーデターの謀略は学生の頃、横山家康の漫画を読んで知りました。

その時はなんで地道にやらないの？って批判的感想でした。　地道に領土広げる、国内を戦ばかりに駆り立てないで内政して安定させなさいと滅ぶまで思っていたものです。　

しかし、その後でも歴史に親しみ続けて書籍、漫画に地政学をちょろっと学んでから現時点で勝頼さんの岡崎城クーデター戦略について考えると･･･、

狙いは悪くない

が、しかしとaddition事柄は幾つも浮ぶ。

　第一に(˘･_･˘)素直すぎる。　

今で言うならば脳筋過ぎるとも言うかも。

　軍事に限らず敵を倒すための作戦計画・作戦行動は秘しておくべきものです。勝頼さんの岡崎城クーデターの謀略の狙いは悪くないのですが、石川数正の台詞であったように、あっさり狙いが見抜かれた！　

　阿部信玄の戦略が素晴らしかったのは戦う前に敵を崩していたから。それは敵の内情を知り尽くしていたから。だからこそ三方ヶ原合戦の誘いも出来た。

でもと言われる声があるだろう。勝頼だって戦う前から岡崎城の信康の家来達を調略していたって。。。

仰せ尤もである。ですが、だがしかしなんである。

　作戦が知られてはならないのは何故ですか？　それは敵がこちらの狙いを判明させぬために行うのです。どんな優秀な兵器があろうとも敵に狙いを悟られていたら攻撃の効果は期待には決して適わない！

　武田信玄が強かったのは兵や情報調略の強さだけではない。敵に狙いを読ませないことにある。　遠江侵略もまさか同盟者たる織田に兵を向けるとは思わせなかった。　史実では東海侵攻には織田領美濃の岩村城にまで攻め込んでいた（だからドラマで岡田信長は援軍3,000までしか出せなかった）。

狙いを悟られていたら攻撃の効果は十分ではなくなる。ドラマでも読まれていたからこそ岡崎城クーデターの謀略は徳川方が対策できた。勝頼さんは『孫子』を読みこなせていないのだろう。

その備え無きを攻めその不意に出ず。

　岡崎城クーデター時点の武田軍は父・信玄が残してくれた名将達が揃っている。岡崎城を狙うつもりならば現時点の武田軍で立て直す前の徳川軍に二正面作戦をやってもよかった。

　また陽動作戦として遠江の諸城を攻め立てておいて引きつけて、徳川軍がそっちに注視した頃合いで岡崎城に奇襲か速攻する作戦が良かった。　陽動に耐えうる攻防熟練の名将は十分にいたのだから。

　岡崎城攻めが失敗に終わった場合でも陽動作戦の遠江の城を落して領土増やせば良いだけです。　強さにかまけて単純に一本調子で攻めてもドラマで演じられていたように効果は無い。

失敗したとはいえ勝頼さんが不発であって間違いではない証明は、三国志にあります。

　蜀漢の諸葛孔明が第一次北伐に進む折、魏延将軍が魏の副都・長安奇襲戦略を進言する。迎撃に出てきた敵の大将・夏侯楙は戦下手だから最短距離の子午谷の道を通って一気に長安を落そうと。落した後でも数ヶ月は持ちこたえられるからその間に味方の諸将が軍を率いて合流すれば良いと。宮城谷小説の三国志でも書かれていたように前漢の韓信の作戦だった。

　しかし、蜀漢の諸葛孔明は乏しい人材面からか博打に近い奇策をさけたのか魏延の戦略を却下する。そして、負けぬ戦略としての地の利を活かした作戦を採り、遠回りの岐山から長安を狙うことになった。

　横山三国志を読んでいた頃は孔明の知略に堪能していた。だからこそ馬謖の失敗で敗戦になったとしてもアクシデントとしか思わなかった。

　けれども今ではそうは思わなくなった。

　三国最小勢力の蜀漢。劉備在世から漢中を知り尽くしている魏延軍に趙雲、王平、諸葛孔明もいた。魏軍はまだ良将が西にきていない。これだけ揃えれば奇襲効果は十分あっただろうし、奇襲を紛らわせる陽動作戦も出来ただろうに惜しいことをしたと別案有りと思うようになった。

　どんな作戦であろうとも失敗アクシデントは必ず起きる起きるのが当然だと思わねばならない。岡崎城クーデターも失敗したように馬謖の失敗も有り得ないのだがつきものの筈だった。　

敵の思わない場所〔隙弱点〕を突いて、敵の思わない時〔タイミング〕に攻めかかれ。