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雌伏

#501「気運の探り合い」

 秦軍が黒羊に向けて進軍中。 その進軍の威容を赤連城から見た秦人が沸き立ち喚声を上げる。 その喚声は飛信隊にいる信や貂にも聞こえる。 

 しかし、民からの声をもらっても信や貂にはそれを受ける余裕はあまりない。 赤連城を見る貂はここまで来たと返って焦る。 作戦を知る信にもそれが分かる。 目指す「金安城」までもうすぐであり、そこから進路変更して南を駆けに駆けるのだ。 その時に李牧にばれる。そこからは李牧の対応が先か、こちらが王都勢力圏に雪崩込むのが先かの大ばくちになる。二人とも歴戦であるがそれでも焦りは消えない。 しかし、総大将の王翦将軍は…、

( ・∀・)つ旦~~全軍に小休止を命じる。 小休止を命じられて、蒙恬はこんなところでといぶかしむ。桓騎軍兵は腹がいてぇのかと下品に笑い飛ばした。
 飛信隊でも渕副長、信は分からない。貂も分からずに金安に着くまで不自然な行動をとるべきじゃないのにと少し苛立つ。ただ一人、羌瘣だけは空を見上げる。

。゜゜(´□`。)°゜。雨が降ってきた。 雨の前に小休止を取れたので桓騎軍たちも手のひらを返して喜ぶ。 山民兵が平地の者たちはこの程度の雨で行軍できないのですかと端和に問うた。端和はそうではないが、この場合はこれがいいのだと答える。
 桓騎が雨に濡れる行軍は馬鹿みてえに疲れるからだと。体力温存しておけとの王翦将軍の差配だなと理解する。それは同時に走らせるときはとことん奔らせるの意味だと桓騎は薄く笑う。 
 蒙恬も桓・楊の理解に追いつくが、雨が降るのがなぜわかったのかと疑問がわく。 信はやはり分からくて、貂が理解した。 雨による行軍疲労まで緻密な計算をしてくる王翦将軍が既に戦いを始めていると実感する。

〈 趙西部最前線地什華 〉
 舜水樹は前線地で情報収集にあたる。  黒羊に動きなし、秦軍は二日で金安に着く予定との報告を受ける。 
 部下が李牧様がそろそろ武白に戻り本陣に加われと伝える。 舜はそれに従い、部下の備宇に代わりを指示する。 どんな些細なことでも何かあったら本陣に知らせるようにと命じる。最後にその他の伝者たちから報告を催促する。 一人だけ報告をする。

 「金安」に潜んでいた間者が5人消息不明になったと。5人も消えたとは舜も部下たちも驚く。舜は他の部署の間者にも問うが、他ではそれが無かった。 
 「金安」だけ厳重なことに舜の頭が回転し始める。舜がときおりつぶやきながら思考を集中し、部下たちも妨げぬように気を遣う。 数刻後、俊は食糧中継地で厳重なのは食糧が大量に備蓄されている、それは全兵糧程になるのではないのかと。

 部下達が舜の答えに蒼然となった。舜はすぐに李牧様に秦軍の進軍変更の可能性があると伝えろと備宇に命じる。 黒羊に食糧は運ばれている現状に部下たちはまだ確証もないと戸惑うが、舜はためらわない。 
 ただの杞憂なら空回りで済むが、秦に欺かれていると大きく後手を踏むと危機感を募らせる。部下たちには更に黒羊に運搬されている食糧の中身を確認せよと命じた。

 秦Σ(゚□゚(゚□゚*)趙両国に急報!! 

 秦軍の王翦将軍に伝令が駆け込んできた。王翦独自の情報網から鳥による緊急の赤い印でしたと伝者は王翦将軍に言う。 封を開いて読んだ王翦。 彼は淡々として手紙の内容を理解する。 伝者にはよく知らせてくれた、引き続き頼むと労う。
 王翦将軍はその手紙を側近に渡し、読んだら燃やしておけと言った。 受け取った部下は読んだ途端に一驚する。 部下の驚きを見た王翦将軍は全軍に行軍を早めるように命じる。将軍は「戦国」かと口にする。 それは奇しくも自分の息子が函谷関の戦い直前に同輩から聞いた言葉と同じものだった。 

 舜水樹の急報と同時に李牧らが聞いた報せは王翦将軍の掴んだ情報と全く同じだった。

こちらは全員驚愕した! 

 よりにもよってこんな時にとカイネは震える。李牧でさえも歯噛みして、東のあの男が動いたのかと言う。 

 『史記 趙世家』では趙は秦より先に燕軍と戦う。 

 西の秦に備えを固めれば東は手薄になる。それを黙ってみる程甘くない、俺とも少しは遊ばんかいと燕将オルドが趙東領に侵攻してきたのだった。

 急遽、東の対応をする李牧達。 その頃には秦の連合軍は「金安」を視認する距離まで来ていたのだった。

Photoいきなし趙国存亡の危険━━Σ(゚д゚;)━━!!

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