後書
曹操孟徳と小泉純一郎
2008/12/15作
一、 最後まで
曹操は最後まで帝位につくことなく王位のままで亡くなりました。後世、この曹操の行為を偽善と語るものが少なくありません。 それは息子・曹丕の代で漢王朝が倒れ魏王朝になったからそういうのです。確かに、漢王朝は事実上倒壊寸前まできていたのでいずれは交代することは必然でした。それゆえに自分は帝位簒奪の汚名を免れるために王のまま留まったと構成の史家たちに批評されています。 しかし、私見と『蒼天航路』愛読者として述べさせてもらいますと、彼には豊富な学問から裏打ちされた国家観からそうしたのではないかと思うのです。 ⇒曹操には現代まで見られるような独裁者のような自分の権力の繁栄とか自分の一族の王朝が永遠に存続することよりも、最高権力者としての政治家は国家繁栄のための役割を果たすのみと考えていたような気がします。
曹一族繁栄しても国家全体に豊かさが享受できなければ、やがて国家と共に滅亡する。そうなれば一族の繁栄だけあっても何にもならない。 それならば、自分のできる仕事から国家を自由な可能性と一緒に豊かにしていけば、自分の一族も感謝されて栄えていけるのではないかと結論付けたのかもしれません。 少なくとも私にはそう見えます。 それであれば曹操が皇帝にならなかったのはやはり古の皇帝にはキチンとした形式があって自分にはそれに当てはまらないと判断停止していたのではないでしょうか。そして、皇帝になれば皇帝らしくしなければ済まない事が増えて政治が窮屈になるから、皇帝にならずに政治と軍事を推し進めていくほうが国家にも都合良しと。 日本でも皇室の方達もそういう場合が多々あるのは周知の事実です。
曹操は事実上、独裁者=最高権力者として死ぬまで君臨しました。 現代でも権力の一極支配や長期にわたる地位の固執は組織に悪影響があると言われています。小泉首相も任期で辞めるといっています。私も一理あると思いますが、それがいいときと悪いときがあると考えています。曹操が君臨していた時代は群雄割拠とは言わなくとも三国に分かれていた乱世でした。そんな油断のならない時代に権力に居座るのは悪いと潔く職を辞することは国家を却って危機に追い込むと思います。徳川家康も大阪城を滅ぼすまで油断できないとして息子・秀忠に容易に政治・軍事権を渡してはいません。
歴史を紐解いても政治家、特に乱世に生きた人達は自分の所属する組織が順調に運営されていない限りは辞職していません。
出処進退とかいって辞めていけるのは、組織が自分がいなくても運営していける、仕事に一区切りついて自分の存在が却って組織の運営に阻害要因となる、と判断した結果に権力が自分の危害に及ぶと見切って初めて辞職したのです。そうでなければあの諸葛孔明が最後まで在職のまま五丈原で陣没しますか? あくまで政治家は国家に尽くすのが本分なのです。
そうしてみますと、小泉首相は勘違いされているとしか言いようがありません。
現在の日本は危急存亡の秋なのにそんな姿勢でいいのでしょうか?
二、 悪名をこうむろうとも
曹操は政治家・軍人として卓越していますが、後世の批評や物語で散々に悪く描かれています。彼の行動は当時の儒教路線の否定による合理主義があるため、後世の儒教秩序の中国から悪くされています。曹操も完全無欠の人間ではないので欠点が無いとはいえません。それでも曹操のしたことは例えどんな悪名を被ろうとも自分のため国家のために最後までそれを貫いたことは凄いと思います。それが本当の政治家です。そのためには敵と戦い、味方と戦い、常識とも戦いました。 「俺が俺であることを誰が止めさせるのだ。」曹操は曹操のままで生きて、なおかつ国家も余計な常識に妨げられず、自由な可能性を持つべきと考えたのではないでしょうか。 Episode:孔融を刑死させた時のことです。曹操は孔融だけでなく息子までも刑死させます。あまりの無体に荀彧が諌めるのですが、曹操は巣が壊れれば卵もつぶれるといった息子達だからこそ刑死させたと言うのでした。恐いのに何故、泣き喚かないのか。それが生きているものの当然持つべき感情であるはずなのに、それすら否定した行為は世のためにならないと。
現在の日本は憲法の不備、国民保険問題、医療費の問題、雇用問題、財政問題など内政から外交まで国家的な問題が山積しています。どれもおざなりに出来ないのに権力に居座るのは悪いといって小泉首相は任期で辞職するのでしょうか。 財政問題でも消費税は上げないというけれど、次の政権では間違いなく消費税は上がります。そこまで財政問題は緊急なのですから。そういう本当に困難で抵抗激しい政策を自分が行わずに、権力欲の無い政治家と郵政民営化を旗印にしたきれいな名声という利鞘稼いで現場退くのですか?自民党最大与党にしたその力を政治に最大限に利用することなく。
もう一度言います、あくまで政治家は国家に尽くすのが本分なのです。何故なら、政治家以上に巨大な権力と国家を未来視点で運営する職業は他にないからです。 Episode:中国は後世、明の時代。モンゴル族の元王朝を倒して中国人の王朝を復活させた初代・洪武帝の話です。洪武帝は皇帝独裁を確立させた名君でしたが、そのためにわずかな過失でも功臣達を大量に粛清して後の障害を片付けていました。さすがに皇太子が咎めました。それを聞いた洪武帝は皇太子に茨の束を素手で掴んでみろと言うのでした。皇太子は難色を示すと洪武帝は手を傷めるからお前は茨を手に取ろうとはしない。朕が粛清しているのはお前が皇帝になったときに手を痛める輩だからだ。だからその棘を抜いてお前に与えるのだと言ったそうです。
そこまでの覚悟で曹操も洪武帝も戦って、政治家の仕事やったということです。 小泉首相はどんな悪名を浴びようと、もっと戦ってください。
三、 人口問題
曹操は人材を集めるのに最も執着していました。彼の生きた時代は中原と華北に中国の人口が集中していました。そのため、袁紹を破って華北を手中に収めた時点で曹操の覇権は揺るがなくなったと見るべきでしょう。 人口が多いことは国家の力が増大になることです。 人口が多ければ税金も少額でたくさん納税できるし、優れた能力を持つ人材が多く排出することでもあるのです。 いくら財政問題で税金や金融問題を片付けようとも人間がそれを稼ぎ利用する以上は少子化問題が何より急務なのです。 孫権の呉でも人口が少なかったために劉備との同盟をせざるを得なかったそうです。それが理由で呉では税金が特に高かったそうです。 産めよ増やせよ地に満ちよとは俗な言葉ですが、核心をついています。 家族が子沢山と言うのはやはり国家にも家族にもいいことであるのです。 やはり教育問題、家庭環境に考慮した労働待遇問題による待遇は大切です。
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コメント
諸葛鳳雛殿、コメント万歳です。最近はブログが滞る。
器量において確かに小泉と曹操では比較になりません。改革は双方ともやってましたがなぁ。。。
>なんかパソナの会長かなんかやってますね。兄貴はミサワホームの社長をやってます。
>安部首相だってダメリカ寄りばかりですし。
大河ドラマは最終章に入りましたが、明治で国家戦略を描けたのは数人でしょう。
投稿: うしつぎ | 2018年10月28日 (日) 06時12分
うしつぎさん、こんばんは。
小泉純一郎?そんなやつおったな、30秒でKOしたる!!
私は最初は騙されていましたが、フルフォード氏の本を
読んでその正体に気づき全く期待していませんでした。
小泉は歴代最低の首相だと思っています。(その次はカンガンス)
やつのやっていた構造改革というのダメリカの年次改革要望書に沿ったものだけの話です。
要するにブッシュやロックフェラーの完全なる下僕です。
構造改悪で日本企業をハゲタカファンドに買収させやすくしたり、郵政民営化も郵貯の金を
ゴールドマン・サックスとかダメリカ金融機関に流すための工作です。
郵政民営化のお礼にベイビーブッシュからおみやげもらったんですって。
小泉はブッシュ家とも仲がいいそうです。
イラク戦争もイエッサーでついていきますし。
航空自衛隊はイラクでダメリカにタクシー代わりにされていたそうです。
手下の竹中平蔵も酷いヤツです。
未だに幅を利かせているのはなぜなんでしょう。
やつもダメリカの完全な下僕として働いていました。
なんかパソナの会長かなんかやってますね
兄貴はミサワホームの社長をやってます。
竹中は今は勢力を失ったキッシンジャーが育てたそうです。
小泉の構造改悪に歓喜して昨年地獄に落ちた
ディヴィッド・ロックフェラーが当時日本に来たんですって。
天皇陛下に会いにきたそうですよ。
未だに売国奴小泉のことがメディアで批判されませんね。
日本のマスコミがダメリカのコントロール化にあることの証拠です。
安部首相だってダメリカ寄りばかりですし。
なんか褒めそやされて気持ち悪いです。
いつまで日本の植民地状態は続くのか。
小泉は曹操とは全く比較対象になりませんね。
投稿: 諸葛鳳雛 | 2018年10月25日 (木) 23時36分