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未だ力の疲れないうちに必死の戦いをしようではないか。

#580「最強の瞬間」

 玉鳳の朝礼会は決戦宣言であった。

 王賁は皆に語る。
 
知っての通り、今この戦況にあって本営からの指示も援軍も来ることは無い。そして兵糧は尽きかけいよいよこの右翼には後が無い。 つまり我々の玉鳳の自力で打開するしか道は無い。 玉鳳隊の顔が引き締まる。
 
だがそれこそ玉鳳本来の姿だ。この隊はこれまで何度も何度も自力で試練を乗り越えてきた。 
この玉鳳は俺の初陣と共に誕生した。俺は…始めから父王翦軍の外に有りそこから一度も王翦軍に入っていない。 
 
俺の戦いは玉鳳と共に始まり今に至る。つまり俺の槍も命もずっとお前達と共にあった。俺はそれを本当に誇りに思っている。 若自らの心情と感謝の言葉に皆が胸が熱くなる。涙ぐむ者から俺たちも誇りに思ってますと叫ぶ者も出る。
 
だが今の戦況はこれまでの中でも最も厳しいものだ。打開策も見出せぬ程の苦渋だ。だが勝たねばならぬ。他の頼らずこの玉鳳の力で勝たねばならぬ。
 
友よ力を貸してくれ。 主から友と言われ、我らを頼っている。玉鳳のみんなは感極まり、涙がこぼれる。関常もこみ上げるものを感じていた。
 
聞け玉鳳。 俺は王一族統主を継ぐ者として秦国随一の大将軍にならねばならぬ。それが俺の道だ。 王賁の決意を関常は感じる。
 
この道を阻まんとする敵は… 。 玉鳳はもう待たなかった。 叩き潰す!!  どんな敵であろうと叩き潰す!!
 
でるぞ玉鳳 我らが道をっ 切り開く!! 玉鳳隊怒濤の出陣であった。
 
奇しくも玉鳳 飛信隊の総攻撃出撃はそのタイミングまで重なった 
 
 趙軍はまさかであった。兵糧尽きかけ疲労困憊の敵から全軍で攻めてきたからだ。更に騎馬、歩兵もでたらめの隊形無視に気でも触れたかと思う。 
 
 前線は追い詰められたバカ共のあがきに弓矢隊の一斉射で応戦した。矢の雨に楚水ら騎馬隊は横に躱す。趙軍もそれは分かっているので歩兵を先ず狙っていたのだった。矢の雨は歩兵重点に当たる。
 
 だが歩兵たちは矢を受けても倒れずに突進してきた。驚く趙兵は急いで盾を準備する。
 
飛信隊告と角も矢を受けた。大丈夫かと干斗がきくが、告角兄弟はたり前だと減らず口で返す。隊長が力を貸してくれと言われた、一緒に天下の大将軍までつっ走ると言われたらもうムリだと。
 
 もう誰も俺たち【飛信隊】を止められねえぞ趙のクソヤロォ共っ 信の檄で新兵達まで滾っていた。
 趙兵が盾密集陣を出す。しかし、楚水の騎馬隊が戻ってきて動かぬ的と化した盾陣を撃破する。➡まさに騎馬隊が戦車の役目だと戦史の訓でありますね。 騎馬隊によって拓かれた穴にすぐに歩兵隊が乱入する。 新兵ばかりでなく尾平、昴、竜有、田有らも趙兵を倒していく。➡まさに電撃戦の戦いぶりであります
 
 理屈じゃ無い、今が恐らく飛信隊は今この瞬間が今までで一番強い…!! 参謀は隊形も何も無い戦いぶりに大丈夫なのかと娘軍師に質す。貂は構わない!!と認める。隊長・信が趙兵をなぎ払う。その戦いぶりに隊もまた滾らせて攻撃を加速させていた。 
 
賁様の道を開けぬ下郎共がァ 玉鳳隊も王賁の檄に滾る騎馬隊が趙軍を蹴散らしていた。
 
 両翼の戦いぶりに亜光本陣の将は困惑する。そこに亜花錦が何を傍観しておられると忠告しに来た。 こんな作戦は聞いていないと段茶大将代理は言う。
 見れば分かる、あれは作戦などではないと亜花錦は言い切る。隊ごとまた化けるかと玉鳳の若を思う。
 
 我らも全軍で行くぞと亜花は督促する。恩を売るにも戦機にも好機、うまくするとこの右翼は今日勝つぞと言う。 また早く号令を、機が逃げるぞとしきりに段茶錦を押す。
 
遂に段茶大将代理は亜光軍全軍出陣の号令を下す。 秦右翼は全軍一斉攻勢に出た。

 

Photoo(*^▽^*)o 瓶割り柴田なら城の水が尽きる前にだけれど、こっちは兵糧の尽きる前にですわ。

王賁も段々と信の熱さを持ってきたなぁ。

 

 

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