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信伝キングダム 583

#583「十三日目」

 

 カイネが李牧の助言を左翼に伝えに来た。

 

 

 カイネが李牧の助言を左翼に伝えに来た。

 

 助言を聞いた後、尭雲はこちらも予想していた通りの作戦だから問題ないと答える。 趙峩龍は李牧様にこちら左翼は抜かれることは無いとお伝えしてくれと答える。 カイネは分かりましたと答えて早々に去ろうとする。
                    
 馬南慈がカイネと声をかけ少し依って行けと誘う。カイネは無用だ、こちらも自分の三千人隊をまとめねばならんから帰ると断る。その時、後ろ向きで二人の会話を聞いていた尭雲がそうか、お前がカイネかと言った。尭雲の方に振り向く馬南慈とカイネ。 
                         
 カイネはそれがどうしたと問う。趙峩龍が夢にカイネが出てきたときく。その通りで尭雲はよくおぼえておらんがと答える。馬南慈がカイネをからかい、カイネがぶち殺すぞと怒り出す。
 尭雲は我が主は不思議な夢を見ることが出来る人だった、亡くなった後は私がその代わりに不思議な夢を見るようになったと言う。 何を言い出すのかとカイネは尭雲を見る。カイネに振り向かずに尭雲は己の命を主に捧げる覚悟の忠誠ぶりはこの尭雲と趙峩龍とよく似ている。せめて願うのはその先まで私達に似ること無きように―と言った。

 

 言われて少しの間を置いた後、カイネの表情が一変した。
   
 抜刀するほど怒ったカイネがそれはどういうことだと怒鳴る。カイネにどうしたと馬南慈。カイネは気づかなかったのか、こいつは不吉なことを言ったんだと吼える。
                      
 私達がこいつらの様に主を失う、李牧様を失うかも知れないのだと。 
 馬南慈もぎょっとする。趙峩龍が尭雲と言うと、尭雲はそうなると断言したわけでは無いと答える。カイネはだったらおかしなこと口にするなと怒鳴る。馬南慈が落ち着けとカイネをなだめる。背を向いた尭雲に目をつり上げてカイネが吼える。 
                     
 お前達と私を一緒にするな…私はお前達と違うんだと言う。絶対にありえぬがもし李牧様が死ぬことがあったらその前に私が盾となって死ぬ。それが叶わなくても李牧様が死ねば私も死ぬ。絶対に!お前達のように主を失っても生き永らえるなんて私は絶対にしない!! わかったか!!            
       
 趙国の伝説の将軍二人を罵倒してカイネが去った。
 言い過ぎのカイネに忠告する馬南慈も主の死を予言したのなら儂も心穏やかではおれんぞと言う。 そうならぬことを願うと言っただけだが…、確かに今のはいらぬ会話であったと尭雲も少々反省する。
                   
 ここで勝つのは我らだと気を取り直した尭雲が言い、馬南慈も当然だと答える。 尭雲はカイネには嘲笑されたが我ら主に殉死を止められ趙国存亡をかけるこの朱海平原での戦いを託された今は多くのことに感謝していると吐露する。 馬が感謝の言葉に疑問を持つ。 
                
 尭雲は答える。 無論、主に。そしてこれまでのこの滾る思いを全力でぶつけることの出来る相手…覚醒した飛信隊と玉鳳隊の存在に感謝しているのだと。 それは峩龍も同じ思いだった。

 

全力で行くぞ若き虎達よ 列国の大将軍達と渡り合った我らの力を教えてやる
                               
十三日目 秦右翼 対 趙左翼 開戦 
 秦中央軍本営では右翼が昨日以上に押しまくっていると知らせが入る。 まぐれではなかったのかと幕僚達に軽い驚きが広がった。 その中で田里弥はここまでの流れについて考えていた。
  • 右に援軍を送らなかったのはこれを見越していたからなのか、それは危うすぎはしなかったか。
  • 2隊があのままであったら右翼が完全に終わっていた。せめて左の蒙恬のように王賁様を将軍に食らい上げして右将としてまとめるまですべきでは無かったか。。。
  • (…いやそうではないな…)それをされてなかったからあの2隊は覚醒できたのだ。
  • 王賁様を右将に据えていたら結果的に戦局は今より悪くなっていたはず。やはりそこまでを…運は流石にお前も王賁言い過ぎだと思う。
 王翦軍第四軍とその将・倉央が本営に現れる。 倉央はいつもいつも殿には驚かされます、玉鳳はともかく飛信隊の覚醒までお読みになるとはと王翦将軍に人を食ったような物言いをする。 第三将の田里弥も同じ読みをしていた。             
      
 しかし、王翦は逆だと答える。飛信隊の覚醒は分かっていたが玉鳳は半分賭けだったと言う。 少々驚く倉央が王翦様の目には飛信隊の方が上ということですかと質す。田が単純な口を利くなと倉を叱り、今のはどちらが上か下かという話では無いと言う。倉も逸りすぎたかとふっと笑う。
           
 まあとにかく右がなんとかここまで押し込んでくれて、ようやく李牧の匂いがする所までこれました。右が抜いてそのまま我々が突撃となりますか殿と倉央は問う。 王翦はそう簡単にいくまいと楽観しなかった。
   
 飛信・玉鳳の波にこのまま呑まれるほど趙左翼は甘くない。両隊の力を推し量り然るべき立て直しをして臨んで来ている筈だと言う。右翼は亜光が討たれた九日目―本当は岳嬰でなく趙左翼の頭脳である趙峩龍を狙うべきだったのだと説明する。
                
 倉央はもう一山来ますか…右は…と言う。王翦は越えれば一気に大局が動くと答える。
 倉は殿の読みは…? と言うと右は山を越えられるのでしょうかとまた質す。 田がいい加減にしろ貴様、調子に乗りすぎだぞと怒鳴りつける。
 王翦は愚問だと倉央に答える。越えると読むからこそここまで前に出てきたのだと言う。倉央も流石に驚いて黙る。 その2隊の隊長たちはそれぞれ正面の敵将が動くのを捉える。

 

 趙中央軍本営にカイネが帰ってきた。 
           
 傅抵が声をかけるが、カイネは機嫌がすこぶる悪い。傅抵が李牧様の策についてきこうとすると、カイネが言うか馬鹿と取り合わない。 傅抵は俺の読みだと兵糧を戦場の真ん中において群がる秦のバカ共を一網打尽にする策だろうと問う。 呆れてカイネはお前が一番馬鹿だと吐き        捨てる。
           
 それでもカイネは今回は単純なことだ、それに趙も少し思っていたみたいだと言う。傅がほーどんなと問う。 今の敵の主力、飛信と玉鳳の両輪の片方を仕留めに行くって話だと答える。あっさりしゃべったとおかしく思う傅。
              
 傅抵は狙われるのはやっぱりアホな信君の方かと質す。カイネの答えは逆だった。

 

十三日目のこの日、秦右翼に衝撃が走った。 戦場にいる王賁。何か感じた信。
            
 王賁が討たれてしまうのだ。

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