信伝キングダム 628
#628「命の火」
それはかつてのとある山間の村で起こったことーー
半年前に流行病に襲われた集落を不思議な力で救ってくれた夫妻がいた。
龐夫妻。彼らはそれ以来、他の集落にも足を運び怪我や病までも治してくれていた。その恩恵を受けた者たちは数知れず、その村の長老は彼ら夫妻に感謝すると共に彼らとその子供ともに幸せを願っていた。――が、不幸は突然襲ってきた。
求道者の一人が彼らを襲った!! 龐夫妻は斬り殺され、他に何人も村の者達が斬られた。求道者は夫妻の赤子を連れて山奥に還る。斬られた母は愛しの赤子・龐煖の名を最後に呼ぶ。赤子は知らずに知りつつ、求道者の手の内で泣いていた。
死にゆく龐煖は走馬灯の中で己が何者であったか思い出しながら命の火を消していった。 死闘の中で最後に立ったのは飛信隊隊長・信であった。 趙の誇る三大天の一人が討ち取られ、その場の趙兵は驚愕のあまり動けなかった。
敵の大将軍を倒した! 信が龐煖を倒したアア!!! 飛信隊全てが歓喜で号泣した。
去亥の友であった竜、松左の友であった崇源は亡き友と共に勝利を喜び泣いた。最も近くで見ていた田有、田永は号泣する。
楚水は己が心血仕えてきた主の極大武功に涙が止められない。飛信隊結成以来の副長・渕は何度も信殿と天に向かって叫びながら涙を流す。
戦略上、趙の大将軍を討ち取った事がどれほどの凄まじいことかを知る河了貂は滂沱の涙で立ちすくむ。
やっとあの龐煖を、王騎将軍も・・・麃公将軍も勝てなかった・・・あの龐煖を・・・俺達の信が討ち取ったァア 尾平が歓喜で咆吼すると更に喊声は高まった。
その喊声はその輪を一気に広め
飛信隊中軍にいた中鉄、澤圭にも聞こえ、聞き取った竜川は涙を流す。新兵達がいる後軍にもそれは届き、亜光軍の亜花錦が其れを聞き瞠目する。
正面側の王翦の元にまで伝わった。
兵の一人は右翼の飛信隊信が趙三大天龐煖を討ち取ったと騒いでいますと王翦に報告する。それを聞いた楽華隊蒙恬、玉鳳隊王賁、番陽は驚く。
李牧本陣に激震が走る。無敵無双の武神が討ち取られた光景にカイネも含めた幕僚達は驚愕する。唯一冷静な李牧は貴方の最後、しかと見届けましたと龐煖に心中で弔辞を述べる。そして、討ち取った信の姿を見る。ようやく正気に戻った幕僚が今すぐ退却しましょうと言う。
カイネは龐煖様が人を超えるための戦いが人を救う戦いならば、その龐煖様が敗れたということは人は人でしか無い・・・、つまり人は救われぬということなのですかと李牧に問う。横で聞いていた兵はドキッとする。 カイネの問いに李牧は・・・、
そうですと答える。今のところ龐煖のやり方では無理だと。 意味を含んだ主の言葉にカイネが疑問を持つと、李牧は他の方法で人の世を救うと豪語する人間が西にいますと言う。 秦王嬴政とカイネは分かる。
この中華を武力統一し戦のない新世界を作るという秦王。だが李牧はそれは今度は我々が断固として"否”を突きつけますと断言する。そのためにも趙は敗れるわけにはいきませんと部下の黄巴に全軍退却の伝令を出させる。
- そもそもこの戦いは"鄴”の攻防戦、我々を足止めに来た王翦軍をこの地で葬りたかったのですがその戦力は大いに削りました。
- 朱海平原で引き剥がすには十分です。各将校達には後退戦術は伝えてあります。
- 今すぐ全軍戦を解き南下、鄴を解放しに行きます。
李牧退却。 気づいた亜花錦が追撃を始める。続いて飛信隊副長・楚水が最早難敵はいない、今すぐここを抜き李牧を討てと全軍に檄を出す。
だが李牧を最も追いやすい秦右翼の主力である飛信隊にも異変がおこる。
隊長・信の元に一人が自分の馬を怪我が少なくまだ走れますと差し出す。田永はもうお前は戦わなくて良い、ここで休んでいてもいいと言葉をかける。 だが信から反応がない。 おかしく思った兵が信の顔をのぞき込むと、仰天して倒れた。
それで皆が異変に気づき、貂も信の異変を気づく。皆に動揺が広がると尾平の元で横になっていた羌瘣が尽きていたんだとか細い言葉でツブヤイた。
すっと前からもう・・・とっくに・・・信の・・・命の🔥は・・・消えていた・・・
飛信隊信が戦場で倒れてしまった。。。

限界を超えた死闘の先❗❗
さてここからどのように話を組むのでしょうか??
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